希望を持って前向きに、技術の将来について語り合う技術科の授業(世良 啓太 著) -奈良教育大学 出版会-
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よる「空の産業革命」1)では離島や山間部などの過疎地での利用が期待されており、飛行可能距離や、時間、最大積載量などの機能性の向上を目指した技術開発が進められているそうです。一方で、価格低下や品質向上による急激な普及に対して法的規制が追い付いていないことや、世間を騒がせた首相官邸無人機落下事件のような予期せぬ落下事故が危惧されています。あなたはこの話を聞いて、ドローンに関わる技術開発や使用をどうしていくべきだと思いますか。 社会に出て間もない技術は開発段階では想定できなかった問題が生じることが多々あります。このことについて、専門家だけでは問題の対処が困難であることが指摘されるなど2)、開発者側や行政はもちろんのこと、市民が身の回りの技術に対して十分な理解をした上で、技術革新に主体的に参画することの重要性が高まっています。世間が受け入れる態勢を取らない限り、需要が高まることはありません。言い換えるならば、技術的に実現可能であったとしても需要がない技術は進展することはないと言えるでしょう。反対に、需要があったとしても、採算が取れないことや、環境負荷が大きいことなど社会的な障害によって実現に至らない技術もあります。技術の進展は開発者や行政だけが牽引するのではなく、一般市民の参画が必要であり、協働できる関係性やシステムの構築が技術の進展を支えているのです。安易に禁止を助長することは簡単かもしれませんが、厳格な安全管理などの約束事を社会で整えながら、技術の進展を一市民として応援することが大切なのではないでしょうか。 出典かわいいフリー素材集いらすとや:https://www.irasutoya.com/

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