学校で勉強する内容はいつ、だれが決めたの?~もっと自由に学びたい~(山本 敏久 著) -奈良教育大学 出版会-
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このように、学校で勉強する内容(教育を行うこと・受けさせること)は、既に、法律によって決められているのです。『世界の平和と人類の福祉の向上に貢献すること』を願って教育を推進し、『人格の完成を目指す』と定められているのです。さらに、この「教育基本法」の前文に書かれているように、最後はとうとう憲法にまでたどり着くのです。勝手には変えることはできないのです。 2. 大人は子どもを頼りにしている がんじがらめに決められていて、とても窮屈な印象をもったかも知れませんが、窮屈ついでに、前章で触れた「学習指導要領」の紹介をしましょう。この“本”には、子どもたちの勉強すべきことがぎっしり書かれています。ハウツー本ではありませんが指導の際に留意すべきことも示されているので、本編と解説編を合わせると、小中学校分で30㎝近い分厚さになります。これをもとに、絵や写真を入れて作られているのが教科書というわけです。 本当は、もっと自由に学ばせて(遊ばせて)あげたいと思うけれど、子どもたちにこれだけは知っておいてほしい、できるようになってほしいと思って、大人は色々な決まりごとを作ってきたということです。みなさんには、先述の法律で示されたような崇高な理想を掲げたよりよい社会・世界の創り手になってほしいのです。持続可能な世界・地球を若い力に託すしかないのです。だから、全国どこにいても全ての子どもたちには、同じように、切磋琢磨して最低○○はできるようになってほしいのです。 そのために、これだけは教えておこうと決めたことが「学習指導要領」に示されています。学習指導要領の基準性2)と言います。 3. これから、世界は変わるんだ ところで、教える内容(学ぶ内容、学びたいこと)は、本当に全国一律、みんな一緒でよいのでしょうか。戦争で焼け野原になった日本が知恵と努力で復興し、国際社会に認められ発展してきたこれまでは、そういうやり方がよかったのかも知れません。でも、これからの世の中、世界ではどうでしょうか。 分からないことはすぐ検索!知識やHow-toは動画付きで手に入れることができる。今までのように、コツコツ覚え、色々なことを知っていなければなら

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