学校で勉強する内容はいつ、だれが決めたの?~もっと自由に学びたい~(山本 敏久 著) -奈良教育大学 出版会-
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ない必然性が一気に低下。しかもその程度の“勉強”なら学校でみんなと一緒にしなくてもできる。さらに、みんなが同じように、知っている・使えるレベルのことは人間より速く正確にコンピュータが片付けてしまう。車の自動運転に象徴されるように、AIなら、ある程度の判断までやってのけるようになるのです。 そんな中、人生100年時代を生きるみなさんに、「人」にしかできない人間としての強みを身に付けていってほしい。そう考えた大人たちが、色々な提言をしています。※ 今回改訂された「学習指導要領」もその一つといえると思います。本稿1、2章で記したように、ゆるぎない理念のもと制度化されたものですから、たくさんの決まりごとはありますし、共通して学んでほしいことは決まっています。しかし、次代を見据えて、各学校で行える自由度が増しています。これまで以上に、一人一人の子どもの様子や願い、家庭・地域の実態、学校の実情等を踏まえ、工夫を凝らした学習の目標・内容・方法を生み出せるようになっています。また、生み出さなければならないと思います。AIにはない人間ならではの柔軟な発想力や直観力を発揮して、教科の枠組みや「正解」だけにとらわれず、人と人とのつながりを生かして、振り返りつつもポジティブに、豊かな学びを創造する。『主体的な学び』『対話的な学び』2)を大事にして、『深い学び』を実現しなければならないのです。 そのためにとても重要なことがあります。それは、これからの学校教育は、大人も子どもも、学校も家庭も地域のみなさんも一緒になって進めるということです。先生や学校だけの課題ではありません。立場や役割を越えて全ての大人(むかしこども)が、全ての子ども(やがておとな)と共に創りあげていくものだと思っています。 4. 「なんで?」「ほんと?」を大事にしてほしい・・これが本当の「学び」 ずいぶん話が大きくなってしまいました。まとめましょう。大学生になるまで、特に、学校での勉強の進め方についての提案です。 「空を自由に飛びたいな」という猫型ロボットのアニメのフレーズで考えてみます。技術的には夢絵空事ではないような時代になってきました。だからこ

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