日本語を歌うときの罠(水野 亜歴 著) -奈良教育大学 出版会-
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このように日本語は、複数の音節がつながって初めて意味を伝えることができ、漢字やひらがな、カタカナ等を使用し微妙な感情を表現しているのです。そのため「詩」を読むには、五線譜の音符に割り当てられた文字をたどるのではなく、原詩を見て読むことが大切です。 3.二つ目の罠「アクセント」 さて、先ほどは演奏者の視点での話をしましたが、聴き手の立場になって考えてみると、歌詞カードや字幕が無い限り「詩」を見ずに演奏者の歌から詩の内容を聴き取らなければなりません。聴き手は何を手がかりに言葉の意味を把握するのでしょうか。次の文を声に出して読んでみてください。 友達から、かきを貰った。 「牡蠣」か「柿」で迷いませんでしたか。ひらがなではどの言葉なのか判断に困ります。しかし読んでいて気が付いたことがあると思います。読むときに第二音節を上げて読むか下げて読むかで意味が変わってきます。図1を見てみましょう。「雨」「牡蠣」「箸」はすべて第二音節が下がっています。 図1 第一音節 第二音節

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