情報とは-人が人間として生きるために-(小﨑 誠二 著)- 奈良教育大学 出版会 ー
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情報とは-人が人間として生きるために-奈良教育大学教職開発講座小﨑誠二はじめに 情報とは何でしょうか。もしよければ、今、ちょっと考えて、呟いてみてください。「そんな漠然とした訊きかたをされただけでは答えられない…」と思った人もいれば、たとえば「何らかの意味をもつデータのこと」のように、簡単な言葉で説明しようとした人もいるでしょう。もしかすると、手元にあるスマートフォンやパソコンなどの情報端末に「情報とは」と入力して、インターネットで検索した人がいるかもしれません。私たちは、日常生活の中で、情報という言葉を頻繁に見聞きするようになりました。ただ、多くの人は情報という言葉を何となく使っていて、言葉で明確に説明することができる人はほとんどいないのではないでしょうか。情報とは何かという、とても広くて大きなテーマについて、ほんの入口の部分だけになってしまいますが、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。1 情報という教科の誕生 私は、大学卒業後、奈良県で、高校の国語科の教員として採用されました。2003年に、新たに情報という科目が創設されることになり、私も情報科の免許を取得し、それ以来、いわゆる二刀流で授業を担当してきました。ここ数年、約60年ぶりに教育基本法が改正されるなど教育改革が急速に進められていますが、情報科が誕生した当時も、学校の成績を決められた割合で配分する相対評価から絶対評価に変更することや、土曜日には授業をしないという学校週五日制を公立学校で完全実施するなど、国家レベルの教育改革が行われました。総合的な学習の時間が始まったのもちょうどその頃です。

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