情報とは-人が人間として生きるために-(小﨑 誠二 著)- 奈良教育大学 出版会 ー
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・「情報」という表記が使われ始めた頃には、「状報」という表記も併用して使われていた。「情」は、心などの内面に向かう外には見えない流動的なものを意味し、「状」は、地形や建築物など外見でわかる固定されたものを意味し、それぞれの意味合いで「情報」と「状報」が使い分けられていたようである。・当初はスパイ活動の意味で使われていた「諜報」という意味合いも含んで使われたため、言葉そのものがマイナスのイメージで捉えられてしまい、1950年代後半に、大学や学会などで学問領域として情報という言葉が使われはじめたときにも、違和感、抵抗感をもつ人が多かったという。・辞書に現れたのは、「状報」が早く、途中「通報」に置き換えられたりするなどの変遷もあり意味も表記も揺れていたが、日露戦争の頃から、新聞紙上で「情報」という言葉が頻繁に使われるようになって、広く衆知されると共に、辞書にも採録されるようになった。・その後、朝鮮半島、中国大陸など、東アジアの漢字文化圏でも使われる言葉になった。3 情報を伝達すること 私が奈良県庁の屋上から撮影した写真を見てください。これで私は「画像を使って情報を発信した」情報の発信者になります。写真を見たみなさんは、私から画像という情報を受けとった受信者です。さて、私からの情報をみなさんはどう受け止めるでしょうか。どんな情報がどのように伝わったでしょうか。

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