異文化理解を研究する-日本のイスラームを例として-(小村 明子 著)- 奈良教育大学 出版会 ー
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図1 出典:小村明子『日本とイスラームが出会うとき―その歴史と可能性』2015年、現代書館、23頁。 この世界的な広がりによって、イスラームは多様性を生み出しました。例えば、宗派です。イスラームには、大きく分けてスンナ(スンニ)派とシーア派に分けられます。スンナ派は広範囲に広がっています。シーア派は、現在のイランおよびイラクの一部に広がっています。さらにこの両派から「イスラーム法学派」という学派によって分けることができます。ムスリムの行動規範はイスラーム法(シャリーア)の解釈で規定されます。イスラームの聖典である「クルアーン(コーラン)」と預言者ムハンマドの言行録である「ハディース」の解釈によるのです。解釈は複数のイスラーム知識人によって行われます。ところが、解釈は微妙ですが違っています。そこで、その微妙な違いから複数の学派に分かれていくようになりました。日本はスンナ派のムスリムが多いので、ここではスンナ派の法学派を紹介していきます。 スンナ派のイスラーム法学派は、表2の通り4つの法学派があります。また、地域ごとにも分けることができます。

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