異文化理解を研究する-日本のイスラームを例として-(小村 明子 著)- 奈良教育大学 出版会 ー
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表2 スンナ派のイスラーム法学派(出典:小村明子作成) 解釈の違いによって、できることとできないことが出てきます。その上に、地域の土着文化とイスラームが融合しているところもあります。それゆえ、イスラームといっても完全に同じということではありません。宗教ですから、信仰への熱意も個人それぞれ異なります。信仰に厚い人であればあるほど教義を厳格に守ります。イスラームが多様であるという理由はここにあります。 現在世界のムスリム人口は、2020年の数値では19億人いるといわれています。また現在ムスリム人口が多い国は、インドネシアです。2019年の数値ですが、約2.7億人の人口のうち87%がムスリムであるといわれています。また、人口比率で一番多い国はパキスタンです。2017年の数値となりますが、96.74%であるといわれています。では、日本はどうでしょうか。どれくらいムスリムがいるのかといえば、法務省入国管理局の在留資格から追うことができます。正規入国者数で、就労目的のビザを取得していることで日本のムスリム人口数がわかるのです。 3.なぜ実際にムスリムにインタビューするのか。 数字で物事を表すとわかりやすさもあって、ニュースでは必ずといって良いほど数値を出して報道します。また、数値を出すことによって伝えた内容の信憑性が高くなります。そのために、数値だけで視聴者が納得してしまう傾向が強いこともいえます。ただし、その数値だけでは実情はわかりません。 国内の外国籍のムスリム人口は、先ほど述べた各国の人口比率によって算出することができます。では、日本人ムスリムの数はといえば、外国籍の人の所①ハナフィー派︓主に、中央アジア、トルコ、シリア(ダマスカス以外)、パキスタン、中国など。②マーリク派︓主に、北アフリカのチュニジア、アルジェリア、モロッコの、いわゆるマグリブ地⽅。③シャーフィイー派︓主に、エジプト(カイロ)、シリア(ダマスカス)、東アフリカ、東南アジアなど。④ハンバル派︓アラビア半島を中⼼に、どの地域も網羅している。

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