発達障害のある子どもへの支援について-特別支援教育研究センターの取り組み-(小松 愛 著)- 奈良教育大学 出版会 ー
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5.おわりに ここまで発達相談やアセスメント、小集団グループなど様々な支援内容をご紹介してきました。発達障害に限りませんが、支援を考えるうえでは何よりもまず、相手を知ること、理解しようと努力することが大切だと思っています。そのためには物事を柔軟に受け入れられる心が必要です。 学生生活を送っていると、誰しもどこかでつまずきを経験するでしょう。勉強や対人関係が上手くいかない、努力しているのに成果が出ない、気持ちが前向きにならないなどなど…。打つ手なしと思うこともあるでしょうが、視野を広げ、視点を変えて何か少しでも変えられること、工夫できることはないでしょうか。便利なアイテムを使っても良いですし、人の力を借りても良いと思います。時には休むことが有効な場合もあります。そうして乗り越えた経験は、子どもの教育や支援の場で必ず生きてきます。 是非皆さんには、これからたくさんの人やものと出会い、学び、色々なことを柔軟に受け入れられる心を育んでいってもらいたいと思います。 参考文献 (1) 日本精神神経学会(2014) 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』 (2) 文部科学省(2007) 「特別支援教育の推進について」(通知) (3) 中央教育審議会(2012) 「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」(報告) (4) 上野一彦・松田修・小林玄・木下智子(2015) 『日本版WISC-Ⅳによる発達障害のアセスメント―代表的な指標パターンの解釈と事例紹介―』日本文化科学社 (5) 大西貴子・富井奈菜実・中西陽・小松愛・根來秀樹(2021) 自閉スペクトラム症のこだわりを生かした社会性促進プログラム―奈良教育大学「鉄オタ倶楽部」の開発― 児童青年精神医学とその近接領域, 62(2),241-258. (6) 富井奈菜実・大西貴子・中西陽・小松愛・根來秀樹(2020) 自閉スペクトラム症の「こだわり」を生かした「奈良教育大学鉄オタ倶楽部」の取り組み 奈良教育大学紀要, 60(1),1-14.

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