「楽譜の裏側に隠されたもの」に迫ろう-民謡を取り入れたピアノ独奏曲を例に-(鈴木 啓資 著)- 奈良教育大学 出版会 ー
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「楽譜の裏側に隠されたもの」に迫ろう −⺠謡を取り⼊れたピアノ独奏曲を例に− 奈良教育⼤学 ⾳楽教育講座 鈴⽊ 啓資 ※ハンガリー語では⼈名を⽇本語と同様に姓名の順で表記しますが、今回は欧⽂表記にならって、名姓の順で表記しています。 1.はじめに 私は現在、ピアニスト、指揮者として演奏活動をするとともに、ハンガリーに留学した経験を活かして、主にハンガリーの⾳楽やピアノ教育について研究しています。研究をしていて思うことは、楽曲をただ演奏するだけでなく、様々な⽅向からのアプローチがとても⼤切であるということです。今回は、ピアノ独奏曲を題材とし、楽譜には書かれていないことから演奏について考えてみます。 みなさんは「ピアノ独奏曲」というと、どのような曲を思い浮かべるでしょうか。ピアノ・ソナタを思い浮かべる⼈もいれば、バッハに代表される多声⾳楽を思い浮かべる⼈など、様々だと思います。場合によっては、オーケストラ⽤の楽曲をピアノ1台で弾けるようにした編曲作品を思い浮かべる⼈もいるかもしれないですね。このように⼀⾔で「ピアノ独奏曲」と⾔っても、様々なジャンルがあります。 今回は、私が研究しているハンガリー⾳楽の中でも、⺠謡を取り⼊れたピアノ独奏曲に焦点を当て、そのような楽曲をどのように弾いていくのかを考えるとともに、その楽曲の根本に迫っていきたいと思います。 さて、⺠謡を取り⼊れているということは、その前段階として⺠謡を収集しているということになりますね。そこで、まずはハンガリーにおける⺠謡収集の歴史について簡単に⾒ていきましょう。

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