「楽譜の裏側に隠されたもの」に迫ろう-民謡を取り入れたピアノ独奏曲を例に-(鈴木 啓資 著)- 奈良教育大学 出版会 ー
6/12

ないでしょう。 次にハンガリー語の特徴からも少し考えてみたいと思います。ハンガリー語はあまり馴染みがない⾔語かもしれませんが、名前を「姓・名」の順で書くなど、⽇本語と似たところもあります。そのようなハンガリー語の特徴の1つが、アクセントが常に単語の頭に置かれるということです。そのことを考慮した上で、《ハンガリー牧歌》第2曲の冒頭を再度⾒てみましょう。 譜例3 譜例3では⺠謡の歌詞を考慮し、アクセントが来ない場所、すなわち単語の冒頭が来ない箇所を⾚い四⾓で⽰しています。ドホナーニは4⼩節に1回アクセントを書いていることから、4⼩節を1つに捉えて演奏することが⼤切ですが、そのフレーズの中でも⾚い四⾓の部分にはアクセントが来ないように気をつけると良いでしょう。なお、アクセントが来ないということが、強く弾かないということではありませんので注意が必要です。 3−2.《ハンガリー牧歌》第2曲3番⽬に現れる⺠謡 次に、第2曲において3番⽬に現れる⺠謡について考えてみましょう。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る