【註】 1)⽣⽥久美⼦・北村勝朗編著,『わざ⾔語―感覚の共有を通しての「学び」へ』、慶応義塾⼤学出版会、2011年、1⾴。 2)⽣⽥・北村,前掲書、1⾴。 3)「五官」に共通の感覚、「⼈々」に共通の感覚についての考察は、ともにアリストレスに由来し、カント『判断⼒批判』において美学の主要概念になる。⼈間の感覚・⾝体・ことばとの関係で「共通感覚」について論じた先⾏研究として中村雄⼆郎『共通感覚論』、岩波現代⽂庫、2000年がある。本稿では認知⾔語学の先⾏研究を⼿がかりにして考える。 4)加藤彩加『⽇本語の共感覚的⽐喩』ひつじ書房、2015年。この研究を通して導かれている結論は、「⽐喩の⼀種としての共感覚⽐喩という従来の⾒⽅に対し、共感覚⽐喩とは、感覚間の意味転⽤という『現象のラベル』として捉えるべきであり、語の意味における多義ネットワークの⼀部を指しているに過ぎない。(中略)感覚間の意味の転⽤は様々な意味作⽤によって成⽴する」(同書7⾴)という⾒解である。 5)⾼等学校で⾏われた鑑賞授業に即し、感覚の共有をはかる指標として着⽬された⽐喩表現をとりあげて「共感覚⽐喩」について考察したことがある。萱のり⼦「鑑賞活動における⾔語とイメージの共有に関する⼀考察」『美術教育』299号、2015年、8−14⾴を参照。 6)OECD教育研究⾰新センター編著, 篠原康正・篠原真⼦・袰岩晶訳『アートの教育学』明⽯書店、2016年。 7)OECD前掲書、26⾴。 ※本稿は、「わざの学び・学びのわざ―⾔語のあり⽅を通してみる感覚の共有」(『未来につなぐ美術教育』⽇本美術教育学会編、三元社、66−77⾴)より内容を抜粋し、解説を加えながら加筆したものです。
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