平仮名にもトレンドがあった!?-国語科書写用教科書における平仮名を見てみよう-(北山 聡佳 著)- 奈良教育大学 出版会 ー
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⽬と4画⽬の終わりの相対的な位置(どちらが右にあるか、同じくらいか)も違います。「な(4画⽬)」や「む(2画⽬)」、「る」の回旋している部分はどうでしょう。形がそれぞれ異なり、折れるところや曲げるところが少しずつ違います。「や」の2画⽬は、どんな形ですか。「れ」の最後は、どの⽅向へ向かいますか。 細部をよく⾒ると、このように教科書の平仮名字形には異なる部分がたくさんあります。さらに時代を遡ると、もっと多くの平仮名字形が登場します。 4. 戦後の教科書における流⾏平仮名字形 戦後に横書きが増えたため、多くの平仮名は縦⻑から幅が広くなる傾向です。「う」や「こ」「し」「ち」「ら」「を」は、縦⻑が主流でした(図2)。そして単純にだんだん幅が広くなるのではなく、時代によって変化します。「う」は、昭和の終わり頃から平成の始めにかけて幅の広さのピークを迎え、その後再びやや狭くなる傾向です。また「り」も同じような変化をしています(表2)。因みに、「り」の1画⽬と2画⽬の書き始め表1 現在(2022年度)の⼩学校 1年⽣書写⽤教科書の平仮名字形 東京 書籍 学校 図書 教育 出版 光村 図書 ⽇本⽂教出版 表2 「う」と「り」の変化 出版社名 使⽤ 年度 (年度) 東京 書籍 学校 図書 教育 出版 光村 図書 ⼤阪 書籍 ⽇本 書籍 中教 出版 1983(昭和58) 〜 1985(昭和60) 1986(昭和61) 〜 1988(昭和63) 発⾏ なし 1989(平成元) 〜 1991(平成3) 発⾏ なし 1992(平成4) 〜 1995(平成7) 発⾏ なし 図2 縦⻑の平仮名

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