の相対的位置も変化しています。平成に⼊ってから同じ⾼さのものが主流となりましたが、現在も2画⽬の書き始めの⽅が⾼くなるものがあります(図3)。 ⼀⽅、現在の⽅が縦⻑の形になっている平仮名もあります。「せ」は戦後の教科書では扁平な概形が主流でしたが、だんだん縦⻑になり、現在のようになりました(表3、表1)。横⻑から縦⻑に変化する平仮名は珍しいですが、「え」は昔からさまざまな概形があり、縦⻑になったり横⻑になったりして現在の形になりました。図4に挙げるように、戦後の教科書には、さまざまな概形のものがあります。 さらに画数にも変化があります。「ゆ」「ら」「り」は何画ですか。現在はどの教科書でも2画ですが、以前は⼀続きで書かれているものもありました(図5)。しかしこれは少数で、流⾏ではないようです。戦後の教科書において「ゆ」は1967年度まで、「ら」は1960年度まで、「り」は1970年度まで⼀続きで書くものがありました。さらに、「ゆ」には、3画のものもありました(図5右)。また「り」については、1画⽬の最後をはねず、⽚仮名のように書いているものもたくさんあります。それらは徐々に減り、1986年度からすべての教科書で、はねとなりました。 また、現在、教科書にはないのに、多くの⼈が書いている平仮名字形があります。それは2画の「そ」です。1950年代の教科書では、2画が流⾏でした。書写における平仮名字形は、書き易いよう変化する傾向にありますが、「そ」はどちらが書き易いのか、⼈によるのかもしれません。2画の「そ」は徐々に1画が主流となり、1971年にはついに1社の教科書に 表3 「せ」の変化 出版社名 使⽤ 年度(年度) 東京書籍 学校図書 教育出版 光村図書 ⼤阪書籍 ⽇本書籍 中教出版 1953(昭和28) 発⾏ なし 1971(昭和46) 〜 1973(昭和48) 図3 「り」の 2画の位置 図4 「え」の変化 図5 現在と画数の違う平仮名
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