ならやま 2014年春号

ならやま 2014年春号 page 20/24

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実習に取り組む中井さん大学院修士課程教科教育専攻1回生かわしたゆういち川下優一さん教育学部総合教育課程科学情報コース3回生なかい中井たかひと隆仁さん和歌山県立向陽高等学校出身教育学部総合教育課程科学情報....

実習に取り組む中井さん大学院修士課程教科教育専攻1回生かわしたゆういち川下優一さん教育学部総合教育課程科学情報コース3回生なかい中井たかひと隆仁さん和歌山県立向陽高等学校出身教育学部総合教育課程科学情報コース3回生ごとうだようすけ後藤田洋介さん大阪市立南高等学校出身参加者を指導する川下さんシンポジウムで発表する後藤田さん教員の視点を持ちつつ、教科専門性を高める。理数教育研究センターでは、高度な教科専門性と子どもたちの気持ちに寄り添った指導ができる実践力を兼ね備えた理数教員の養成を目指して、新理数プログラムや大学院理数プログラムを実施しています。また本学は、茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)と、研究成果の社会還元及び教育の推進を目的とした連携協定を締結しており、理数教育研究センターが中心となってさまざまな事業に取り組んでいます。今回は、KEKでのサイエンスキャンプやシンポジウムなどに積極的に参加している3人の学生を紹介します。高校生のための素粒子サイエンスキャンプBelle Plus 2013川下さんは、後藤田さん、中井さんと共に、KEKと本学が開催した高校生のための素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus(ベルプリュス)」にTAとして参加し、指導や運営に携わりました。このサイエンスキャンプは、最先端の研究活動を高校生に体験してもらうことを目的として毎年開催されており、今回は全国から集まった22人の高校生が実験実習や施設見学などを楽しみました。TAとして実習で高校生の指導に当たるのはもちろんですが、全国から参加する高校生一人一人が安心・安全に4日間を過ごすことができるよう生活面のサポートや、参加者同士のコミュニケーションを促すことも、TAの重要な役割です。本学のTAが企画・実施した交流会や実験実習は大変な盛り上がりを見せ、良い雰囲気作りに特に貢献しました。川下さんは今回の活動を通して、「学部時代に、理数離れの打開策を研究する中で、実際に子どもたちが自ら手を動かしたり、現物を見たりすることが、子どもたちの心によく響くと感じてきました。今回、最先端で研究している研究者から直接講義を受けたり、実験を行ったり、実験施設を間近に見たりと、実際に生徒たちが自らさまざまなことを体験する中で、とても充実した表情で、意欲的に課題に取り組む様子を見て、改めてそう感じました。」と話しています。大学生のための素粒子・原子核、物質・生命スクールサマーチャレンジ2013中井さんは、KEKが開催した「サマーチャレンジ」に参加しました。このスクールは、基礎科学を担う若手を育てることを目的に、大学3年生を対象として毎年行われています。研究の最前線で活躍する研究者による講義や施設見学、実習などが用意され、基礎科学のさまざまな研究分野を身をもって知る機会となるだけでなく、科学を志す仲間との出会いや今後の進路を考えるきっかけとなる企画です。「教育学部だから、他大学の理工系学部の人たちに負けても当然19_SPRING 2014ならやまであるという思いは一つもなく、自分にしかできないことや自分でもしっかりと渡り合えるだけの力があると信じて、予習や素粒子物理学に関する勉強をしました。実際に参加してみて、メンバーの意識の高さに驚きました。自分の考えや将来像がしっかりとしていて、それに向かってまっすぐに進もうとする志に圧倒されました。ここで共に学んだメンバーとの出会いが、今後の人生に大きな影響を与えることは言うまでもありません。」と中井さんは参加した感想を話しています。今回の素晴らしい体験を後輩に伝え、本学から一人でも多くの学生にこのスクールに参加してもらいたいと思っているそうです。ILC計画国際シンポジウム「宇宙の謎に迫れるか!」後藤田さんは、KEKが推進している国際リニアコライダー(ILC)計画の国際シンポジウムで登壇し、教員志望学生の視点から先端科学と教育について発表しました。「サイエンスキャンプなど、子どもたちに科学を紹介する催しにこれまでたくさん参加してきた経験から、科学に興味を持った子どもたちが、いかにその興味を持続させることができるのかを考えるようになりました。研究者が子どもたちに何度も科学に関する講演を実施すれば、子どもたちの興味を「点」から「線」に変えることができるかもしれませんが、それでは、研究者が本業の研究に手をつけられなくなってしまいます。そこで、「点」をつなぐことができる、子どもたちにもっと身近な存在が「教員」だと考えています。教員が「点」を「線」につなぐために私が提案するのが、研究者と教員が連携できるチーム・機関づくりです。このチーム・機関では、教員は先端科学を学び理解し、研究者は教育や子どもの現状を理解した上で、子どもたちのためのサイエンスキャンプや科学教室を開催するのです。先端科学と教育の融合が進むことを期待しています。」理数離れが問題となる昨今、彼らのように子どもたちに科学の魅力をいかに伝えるのかを考えながら、自らの専門性を高める姿勢は、これからの教員に必要とされるものではないでしょうか。今後の活躍が期待されます。【理数教育研究センター】http://nesm.nara-edu.ac.jp/