ならやま 2014年春号

ならやま 2014年春号 page 4/24

電子ブックを開く

このページは ならやま 2014年春号 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
特集さらなる連携に向けて進めたい。さらなる連携協働を共に質の向上を図るべく、長友そのとおりです。英語やICT活用能力はテクニックであって、それを使って何を伝えるのかが大事なわけです。自分の住む所から外に....

特集さらなる連携に向けて進めたい。さらなる連携協働を共に質の向上を図るべく、長友そのとおりです。英語やICT活用能力はテクニックであって、それを使って何を伝えるのかが大事なわけです。自分の住む所から外に出て、外から見てみた時に、こんな良い所や特色がある、また他の所のものを見て、あれはうちにはない、あれはいいよねということが理解できるようになると、グローバルな思考法が身に付いてくるんだろうと思います。中室私も、これからの子どもたちには、特にそこを身に付けてもらいたいと考えています。長友大学では、他府県からもたくさんの学生が来ていますので、文化遺産の他に環境や防災などもESDの切り口の一つとして考えています。例えば、東日本大震災の後、学生達が誰にも指示されずに、駅前で募金活動をしました。現地にボランティアに行きたいという学生も、何人も出てきました。ユネスコスクールである宮城教育大学が窓口となり、被災地の学校で教育支援を行う体制を整えてくださって、これまで9次に亘って学生を派遣しています。ESDという視点で文化遺産学習や環境問題に取り組む場合、主観的な意志からではなく、何が必要とされているのか、将来はどうなのかということを考えながら、活動する必要があります。子どもを対象とするのであれば、どういう大人になってもらいたいかを考えながら活動することが大事です。大人になったときも何か行動している、そういうことができればいいなと思います。りやすい言葉で説明すれば、小さな子どもでも理解します。だから、奈良市では幼稚園から世界遺産学習に取り組んでいます。それを義務教育にしっかりとつないでいきたいと思います。そして、それが高校、大学へとつながっていってくれればと願っています。この取組を広げていくためには、学校教育とともに家庭の役割も重要です。先ほども述べましたが、今のお父さん、お母さんは、忙しくてなかなか地域の行事に子どもと一緒に出かける機会が少ないようです。私達が育った時代は高度経済成長期でしたが、日々の生活は、もう少しゆっくりと流れていたように思います。だから、私が子どもの時にしてもらったことと同じことを求めても無理なのでしょうが、子どもが学校で学んだ世界遺産学習が家庭で話題になり、じゃあ今度一緒に行ってみようかとなればいいなと思っています。長友私は、本学に勤めてもう40年になり、奈良のことはかなりわかっていますが、生まれ育った所ではありません。保護者の方も、今住んでいる所が生まれ育った所ではない方が多いでしょうから、保護者にも自分達が住んでいる町にはこういう歴史があるんだということを学んでもらったり、行事に参加してもらったりすると、それが子どもに波及するかもしれませんね。──小中学生の世界遺産学習は教育委員会にお任せし、大人の世界遺産学習は大学が公開講座で引き継いで行うということで、世界遺産学習を通じて、教育委員会と大学が同じフィールドに立つことができます。ウィンウィンの関係になれる素材ですね。中室そうですね。最終的には文化や伝統だけでなく、自然や環境、命、人権などもしっかり考えていく必要がありますが、世界遺産学習ではこの奈良にある自分達の町の良さや歴史をしっかり学び、それらを守り受け継いできた人々の思いや営みを学ぶことから始めるのです。私達は、義務教育だけでなく幼児教育も担当していますが、素晴らしいものを受け継いできた人々の思いや願いは、わか学生に、学校や地域の中にもっと入ってもらいたい──スクールサポートについては、学生世界遺産学習本学は、昨年12月22日に、文部科学省や奈良市教育委員会、世界遺産学習連絡協議会、奈良国立博物館と共に、第4回世界遺産学習全国サミットinならを開催しました。このサミットは、世界遺産学習(世界遺産や身近にある文化遺産や自然環境等を通して地域に対する誇りや地域を大切に思う心情を育み、持続可能な社会の担い手としての意欲や態度を養うことを目指す)やESDに関する発表や優れた実践の交流を通して、教員研修や市民への啓発の機会とすると共に、全国に発信し、普及を図ることを目的としています。また、11月から1月にかけて、ユネスコスクール研修会として、世界遺産教育講演会を3回開催しました。それぞれ世界遺産学習やESDに関する取り組みを積極的に行っている方を講師に迎え、講演やグループディスカッションなどを行いました。本学が実施している、学生、大学院生、教職大学院生、地域の教員の四者が互いに協力しあう「テトラモデル」を実践し、意見交流することができました。3_SPRING 2014ならやま