ならやま 2014年春号

ならやま 2014年春号 page 6/24

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特集さらなる連携に向けていない日常の現場で、教員の仕事を理解していく。このことは、これから大学で教員を養成していくにあたって、非常に大事なポイントになると思います。本学は教員養成という目的大学ですから....

特集さらなる連携に向けていない日常の現場で、教員の仕事を理解していく。このことは、これから大学で教員を養成していくにあたって、非常に大事なポイントになると思います。本学は教員養成という目的大学ですから、一般学部で教員免許を取得した人達よりも、教員という仕事を理解している卒業生を送り出したいのです。本学では、大学のミッションを1年かけて定義し直し、教員養成高度化を検討しています。一昨年8月28日の中央教育審議会答申では、教員は医師と同様、高度な専門職であると明確に位置づけられました。教員は教科を教えるだけでなく、子どもの気持ち、保護者の気持ち、チームとして働く同僚の気持ちを推し量り、それに対応できることが重要です。一言でいうと教科指導力とこども理解力、協調性です。これが教員として大事な力ではないかと私は思います。人は理屈では動きませんから、学校でチームとして働いている教員間の気持ちの通じ合いや協働する力を、スクールサポートを通じて学生が感じ取ることが、学生の成長として大きいと思います。教科を教える力は、大学の中で身につけることができますが、実際に教員になったときに必要な大事な力は、学校現場でないとつけられない。その部分をスクールサポート活動が担っていると思います。中室最終的には、学長が言われたように、教育は人なりということだと思います。人をどう育てるかということになると、奈良教育大学と我々が一緒になって上手くやっていければいいなあと思います。今、奈良市では地域と学校の関係を強め、地域と連携協働して子どもを育てていこうとしています。その中にも、学生さんが入ってきてくれればいいなあと思うことがありますね。──奈良市では、放課後子ども教室推進事業や地域で決める学校予算事業などの取組をされていますが、このような取組にスクールサポーターが関わっていくということも考えられるのでしょうか。中室平成20年に文部科学省から学校支援地域本部事業の委託先として打診があったときに、全ての中学校区で引き受けて進めることになりました。お蔭さまで、今では22の全ての中学校区で積極的に学校との連携を進めていただいています。学校と地域をつなぐ地域コーディネーターは300人を超え、地域ボランティアとして登録していただいている方は2500人を超えています。このように学校と地域が一緒になって活動しているところに、学生さんにも入ってもらうような仕組みを、今日このように学長とお話したことをきっかけに、新たな制度として作ることができればと考えています。長友奈良市立東市小学校の「東市日本一プロジェクト」が4年目を迎えています。ここでは、地域の方、保護者の方、本学の学生が、学校と一緒になって子どもの教育のお手伝いをしていますが、これが一つの典型かと思います。また曽爾村では、本学理数教育研究センターが、理数を中心に毎年サマースクールとウインタースクールを開催しています。この活動に参加する学生は、非常に力をつけてきています。教員がお膳立てして参加させるのではなく、最初の企画段階から教材作りまで学生が考え、行動します。教員は指導をしますが、基本は学生の発想で組み立てて実践して、後で振り返るのです。私も現地に行きましたが、大学で授業を受けている時とは違った、目の輝きが学生に見られました。現地の小中学校の先生方にも喜んでいただいています。このようなことも、奈良市内の小中学校とも一緒にできれば、ウィンウィンの関係になれるのではないかと思います。中室地域で決める学校予算事業については、実施して4年が経ちました。元々この事業は、子ども達の教育活動の充実を図るとともに、地域の教育力の再生と地域コミュニティーの活性化を進めることを目的にして始まったものです。最初の頃は、地域の方が学校を支援するといっても、環境整備が中心でした。それが今では、教科学習の支援までしていただいています。先日も、ある小学校の理科の授業で、担任ではとてもそこまでは準備できないというようなアイデアあふれる実験用教材を作ってくださり、担任と一緒に授業をしていただいた方々がおられました。このように、今は団塊の世代の人がリタイアし、地域の中には幅広い知識や価値観、技術を持った方がおられます。外国で長い間生活した方や、専門職として技術を積み上げてこられた方もいます。このような方々に学校の中に入っていただき、地域の教育力を学校に取り入れ、子ども達が多様な価値観に出会い、多くの大人と触れ合う場面をたくさん作るということが大事だと思います。教員を目指す学生さんにも同じことが言えるのではないでしょうか。先ほど学長が言われたように、プログラム化された教育実習や実践での対応力の低下、チームワークや協働の重要性ということを考えたときに、学生さんも地域の中に入り、多様な人と一緒に活動していくということは、とても大切なことだと思います。このようなことが仕組みとしてできないか、と考えています。地域も若い力を必要としています。奈良市が行っている地域連携の強みを奈良教育大学に提供することができれば、学生さんに力をつけてもらうこともできますので、双方のニーズがマッチするのではないかと思っています。長友そうですね。これからは、色々な個性を持った人達が集まり、チームとして何かをするときに、自分のアイデンティティを持ちつつきちんとコーディネートできる力が、必要になってくると思います。そういう意味でも、大学内東市・日本一・プロジェクト(TNP)本学から自転車で数分のところにある奈良市立東市小学校では、学校と地域の方々そして本学の学生が世代を超えて協力し、東市小学校を日本一の小学校にしようと取り組んでいます。年に一度の「東市まるごと子ども合宿」(通学合宿)や毎週水曜日の放課後に継続的に実施している放課後子ども教室「まなびーや」など、さまざまな企画が行われています。この活動にあたっては、学生が、学校や地域の方々の補助として参加するのではなく、その企画段階から対等の立場で参加し、意見を交わしながら企画運営しています。学生は、活動を通じてさまざまな世代や立場の方々と関わることができ、コミュニケーション能力の向上や視野の拡大などの変化を感じているようです。●放課後子ども教室「まなびーや」http://www.nara-edu.ac.jp/ADMIN/SECRETARY/TNP.html5_SPRING 2014ならやま