ならやま 2014年春号

ならやま 2014年春号 page 7/24

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の友人関係や部活内での関係から一歩踏み出して、年齢の異なる教員や地域の方がいる学校現場で活動していくことが、とても大事なのだと思います。ウィンウィンの関係でお互いの質向上を図る──教育現場から見て、奈....

の友人関係や部活内での関係から一歩踏み出して、年齢の異なる教員や地域の方がいる学校現場で活動していくことが、とても大事なのだと思います。ウィンウィンの関係でお互いの質向上を図る──教育現場から見て、奈良教育大学には、どのようなことを期待されているでしょうか。中室一つは、今学長もおっしゃったように、多様な価値観に触れて、幅広い人間性と柔軟な対応力を持った教員を育成していってほしい、ということです。我々が教育を受けてきた時代は、答えや行き先が見えており、そこへ向かって求められたことを一生懸命やっていけば幸せに手が届きました。しかし、これからの時代を生きていく子ども達は、先が見えず正解のない、大変不透明な時代を生きていかなければなりません。そのためには、しっかりと考える力や他人とコラボレーションしたりコミュニケーションを取ったりする力、そして最適な答えを見つけ出していく力を身に付けないといけないと思います。そして何より、自分自身の立ち位置、つまりしっかりとしたアイデンティティを確立していく必要があると思います。指示されたことを正確に、素早く行うことが重要だった旧来の教育観で子どもを育てても、世界に出たときに通用しないと思います。教員も同様で、指示されたことしかできない先生では、次の世代を担う教育は行えません。奈良教育大学の学生さんには、ぜひ豊かな人間性、魅力ある人間性と柔軟な対応力や行動力を持って学校現場に巣立って行ってほしいと願っています。それからもう一つ。これは大変期待していることですし、ぜひとも進めていくことができればと思っていることですが、奈良教育大学とは組織としての連携を深めていくことができればと考えています。これまでも、大学の先生方には世界遺産学習やスクールサポート事業をはじめとして、本市の教育ビジョンや教育政策の指導助言、教職員研修や学校支援など、さまざまな事業に関わっていただいておりますが、これからは、先生お一人お一人とのつながりだけではなく、奈良教育大学と奈良市教育委員会という組織と組織での結びつきを深めていくことができればと考えています。その一つが、先ほど述べた地域と学校との連携の輪の中に大学も加わる、というものです。地域と学校の連携については、本市の大きな特色です。奈良教育大学が地域に根ざした大学として、ぜひ私達の取組の中に深く入ってきていただけるような仕組みをつくっていくことができればなと考えています。長友一昨年の11月頃から10ヶ月ほどかけ、文部科学省とやりとりしながら、ミッション(大学の使命、社会的役割)を再度定義しました。本学の入学者は、奈良県出身者が25%前後、大阪府出身者もそれと同じくらいです。そして、兵庫県と京都府出身者をプラスすると70%くらいで、その他が全国から来るわけですが、本学の教員養成としては、奈良県に軸足を置いて進めていくというのをミッションの最初に掲げています。また、研究という点では、近畿・全国を視野に置き、教員養成の向上に寄与していこうというのが、基本的なスタンスです。また、今回再定義したミッションでは、教育委員会や学校現場との連携強化を打ち出しています。先ほどからお話していますような実践的指導力や課題を明確に自分で見つけ、課題探究型の学びを続ける力、現職になっても自分で学び続ける力を身に付けた教員の養成を実現するためには、教育委員会や学校現場との連携協働が不可欠です。本学では、学ぶ喜びを知り、自ら学び続ける次世代教員の養成を目指して、昨年度から「『学ぶ喜びを知り、自ら学び続ける』教員の養成に向けた持続可能な発展のための教育活性化プロジェクト」(「学ぶ喜び」プロジェクト)に取り組んでおり、次年度も継続して取り組みます。このプロジェクトは、世界遺産学習やスクールサポート、東市・日本一・プロジェクト、東北教育復興支援、十津川道普請などさまざまな事業を含め、附属学校園も一緒になってESDの理念をベースに置きながら行っていますが、大分実質化してきました。課題探究型の学習ということで言いますと、大学生こそ自ら課題を見つけて学ぶべきなのですが、教えてもらうという勉強方法が身に付いてしまっていると、なかなか自ら学ぶというのは難しいようです。そういうことができるような学生に育てるために、現在本学では教員養成高度化の検討を進めています。教育の不易の部分をおさえながら、実践部分を増やしたり、振り返りの作業を増やしたりすることを考えています。教育学部は2年前に改革しましたので、今回は特に大学院(修士課程と教職大学院)を中心に改革していきます。また、2年後からの第3期中期目標期間に向けて目標計画を検討しているところです。その中で、今お話したようなことを取り込んだ目標と計画を作っていくことになります。その時のポイントとなるのが、現場での実践だと考えています。実践しながら、そこで得たことを自分で理論化し、次の実践に入るというスパイラルができるような仕組みを作りたいと考えています。その取組の一つが、スクールサポートであり、学生が学校運営に入っていく仕組みなのです。場面、場面で奈良市教育委員会とコラボさせていただくということを前提にした我々の計画です。ですから、先ほどおっしゃっていただいたような、奈良市教育委員会と奈良教育大学の組織と組織の連携協働をシステム化していくことが、本学の教員養成の質を高めていくことにつながると考えています。大学と教育委員会が一緒に地域の教育を考える、と同時に教育委員会には大学の教員養成に知恵をお貸しいただく。そういうウィンウィンの関係で、共に質の向上を図るべく、これからさらなる連携協働を進めて行きましょう。SPRING 2014ならやま_6