ブックタイトルならやま 2014夏号

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概要

ならやま 2014夏号

クローズアップ環境Ⅱ」の授業では、サツマイモが附属幼稚園での焼き芋大会(写真8)のいわばヒーローです。サクラの落ち葉で焼いたサツマイモの味は、格別です。これらの素材のうち、文献研究の成果や他の材料を加えて教育への活用方法等を考察し、学会で報告するとともに、論文にまとめたものがあります。総論(2001年)を皮切りに、生活科等でのドングリとカキの利用(2004年)、保育等でのサツマイモの利用(2005年)、社会科等でのイネの利用(2014年)のほか、コムギ、チャ、ナタネについても、雑誌等で教育への活用について見解をまとめています。このように見ると、私の場合、授業での諸活動と研究とは、あたかも車の両輪のような関係にある、といえそうです。ウメは、これから研究を深めたい素材のひとつです。ここ数年、ゼミ生に限定ですが、ウメの実を利用して梅干し作りの活動をしています。6月に実習園のウメの実を採取後、塩漬けし、7月に天日干しする、という活動です(写真9、10、11)。天日干し後は、1年間以上寝かせ、食べるのは翌年の10月以降です。この梅干し作りの活動を通して学生に話をしていることは、本来の梅干し作りは、天然材料(塩およびオプションとしてのシソの葉)と自然の力(日光)だけを利用し、長期間かけて行うものであり、できあがった後も冷蔵庫に入れる必要のない保存食であるということです。自然と人間の関係を考える最近の私は、自然と人間の関係について考えるようになってきています。ここで大切なことは、我々の身の回りで、ひとりひとりが、自然に関わって、できることから取り組んでいくことであると考えています。梅干し作りは、まことにささやかな取り組みですが、その一例になるであろうと想定しています。また、先に挙げた素材や活動の中では、干し柿作りも、必要なものは晩秋~初冬の冷たく乾いた風だけであり、こうした考えを深める手がかりになっています。「焼き芋大会」についても、使う燃料は主として学内で集めた落ち葉であり、化石エネルギーに依存していない、という点で同様です。我々の身の回りには、自然と人間の関係を考えるための研究材料があふれています。私は、今後もこれらを通して、教育論をいっそう深めて行きたいと思っています。(写真9)ウメの実の採取(写真8)附属幼稚園での「焼き芋大会」の様子(写真10)採取したウメの実(写真11)梅干し作り(天日干し)11_SUMMER 2014ならやま