ブックタイトルならやま2014秋号

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概要

ならやま2014秋号

クローズアップ本学教員の研究を詳しく紹介広く使ってくれることを目指した技術教育の教材開発製品開発のはなし私は、奈良教育大学に赴任して23年が経過しました。前職は鳥取県庁の職員(研究職)で、中小企業の研究開発の支援を業務としていました。大学に異動する直前に私が行った仕事は、生涯教育を目的とするグラウンドゴルフ用具の開発でした。ある日、大手スポーツメーカーと県内の中小企業が揃って私の研究室を訪問し、グラウンドゴルフというまだこの世に存在しない製品の開発をしてもらいたいとの相談を受けました。ルールは既に確立しているが、ゴルフクラブができていないとのことでした。幼稚園児から老人まで幅広く競技するために、軽くて強いという条件から、木製であることが限定されました。木材にプラスチックを注入する特殊な加工を行い、クラブを試作しました。何度も製品性能チェックを行い、ようやく完全な製品となりました。教育機関に異動するということで、数セットを提供していただきました。これらの用具を用いて生活科の授業で実践してもらった様子を図1に示します。私が開発した後に身体障害者用の用具も開発され、現在各地で大会が開かれていると聞いています(図2)。奈良県教育委員会が取組んでいる「地域と共にある学校づくり」において、グラウンドゴルフを用いた活動が実践されています。平成24年度の推進モデル校として県内で2校が選ばれ、老人会と小学生の交流が図られたようです。グラウンドゴルフがゲートボールと肩を並べるほどまでに人気が出てきたと聞き、最初の開発に関与できたことを大変うれしく思っています。教材の開発1谷口の開発子どもたちが学習する過程で興味や関心、また理解の手助けとなることを前提に、技術教育の教材の開発を行ってきました。はじめに私が手がけたオリジナル教材の一部を紹介します。(1)木材の性質を理解する教材技術の授業で木材加工は中学校1年の1学期で学習する学校が多い。木材の密度については教科書に記述されていますが、理科ではまだ学習していない内容です。密度を学習するために、まず木材を水に浮かせ、沈みの程度で理解させることを試みました。学習を深めるために、木材の長さ方向を10等分し、水と木材が接する部分が密度の値であることを示しました。さらに、木材が水分を吸収・放出することにより寸法変化すること、材料によって熱の伝わり方や接触感が異なることを理解する教具も提案しました(図3)。現在これらの教材群が教科書出版社の副読本にも採用されています。(2)木の絵本生活科履修分野を専攻した学生から卒論で絵本が作りたい、普通の紙の絵本ではなく、木で作りたいと申し出がありました。木を薄くスラ(図1)奈良市立佐保川小学校2年生の実践(図2)車椅子用モデルのクラブ((株)アシックス提供)AUTUMN 2014ならやま_10