ブックタイトルならやま2014秋号

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概要

ならやま2014秋号

奈良県教育委員会と奈良教育大学の連携・協働による教員づくり特集る力を育成する授業にするためには、授業の単元構成や発問がどうあるべきか、国語を専門的に学んでこなかった教員には、イメージできないということがあるようです。長友最近の学生は、本を読まない者が多いですね。そのことが要因の一つなのではないでしょうか。私たちの世代は学生時代にたくさんの本を読み、そこからたくさん影響を受けました。国語を教えるときに、教材として出てくる作品を相対化させるためには、その他にどれだけの作品を読んでいるかということも、大事ですね。学生たちは、受験勉強として作品を読んできているので、受験勉強以外の自分の興味として読んでいないのでしょうね。吉田問題を解くためだけに読んでいて、感性で読んでいないんですね。作品を味わうということをしていない。大学生にもっと本を読んでもらわないといけないですね。長友もう一つ学生の問題で言うと、海外留学があります。グローバル感覚を養うために海外留学を推奨しているのですが、留学を希望する学生はあまりいません。最大の理由は就職です。半年や一年間外国を見てくることは、後になってプラスになると言っても、目の前の就職ということを考えるとなかなか踏み切れない。余裕がなく、枠の中での勉強からはみ出せない学生が多いです。──小学校英語についてはいかがですか。英語教育の力をきちんと持った教員を養成。外国での経験が生きる吉田子どもたちは、文法や細かいことを意識せずに、聞いて話すことから活動に入っていますので、ある程度成果は上がると思います。しかし、中学校に入るとその力が低下する傾向があるようです。長友文法をやりだした途端におもしろくなくなりますね。奈良県教育委員会と本学との連携協議会の専門部会において、英語教育の充実について検討が進められていますが、本学の学生には英語教育の力をつけて卒業させたいと思います。吉田小学校の教員になろうとしている学生が、短期でも外国へ行って自らコミュニケーションを図る努力をして、その経験を基に教員として授業をすれば、外国語活動の趣旨を生かした授業はすぐにできるのではないかと思います。長友私が学生たちに勧めたい海外旅行は、パック旅行ではなく、自分でプランを立てて行くということです。頼る人がいないので、行く前に多少準備をしますよね。そして実際に現地で話してみると、文法通りに話さなくても単語と身振りでも通じるわけです。これがグローバル感覚の第一歩です。言葉が通じるのと通じないのとでは、自分の行動の自由さが大きく異なります。もっと通じたらおもしろいのにと思うようになります。こういう体験が必要なんだと思います。吉田自分で計画を立てて外国へ行き、いろいろな経験をすることはとても良いことだと思います。今の学生が、単位認定しないとなかなかそういうことをしないのであれば、そのような経験で単位認定をするというような制度をつくられてはいかがでしょうか。長友単位認定はもう少し緩めても良いと思っています。外国での体験について一定の基準に従ってレポートすることによって認定するということをやればよいと思います。──学校現場へのICTの導入が進んでいますが、奈良県の場合はいかがでしょうか。県教委と奈教大がタッグを組んでICT整備や研修を行う吉田ICTは、ハードの整備と共に進めていかないと、なかなか教員の力量アップにつながらないところがあり、現在はハードの整備がまだまだ追いついておらず、タブレットを使った授業を実践してもらうこともできていません。デジタル教材もまだ少ないです。電子黒板を使うなどして、旧態依然とした指導方法から変えていくことは大事です。これからの流れはそうなっていくと思います。ただ、その流れにしっかり乗れるような教員を養成する必要がありますので、県の教育研究所では、ICTの担当係が今後、教育研究所の中でしっかりと研修をできるように準備を進めています。これについては、専門部会を作って、教育大とタッグを組んで検討を進めています。長友ICTは重視しています。昨年は、附属小学校も中学校も、ICT活用をテーマに公開研究会を行いました。このノウハウを、奈良県のICT整備に活用していただければと思います。吉田県内では、へき地の市町村の方がICTの環境整備をしたいという思いは強く、ICTで子どもたちの教育環境を良くしていこうという考えをもっておられます。我々は、そういう思いにも応えていかなければなりません。長友附属学校で、「ICTを活用した授業はこんな感じですよ」といったモデル授業を展開できますので、それを関心のある先生に見てもらえたらと思います。私の個人的なアイデアとしては、附属学校と公立学校のいくつかをモデル校として、実際にICTを使った授業方法でどのような効果が出るのか実証していけばどうかと考えています。お金のかかることではありますが、スタートはいくつかの公立校と本学の附属学校とでできるのではないかと思っています。吉田もう少し進めば、日常的に使うことができるようなデジタル教材が入ってくると思います。今はまだスポットで使うだけですので、ある一部分でのみおもしろいなという程度ですね。長友デジタル教材は相当充実してきています。ICTを活用した授業は今はどこも試験段階ですが、他大学の附属学校や公立学校でもそれぞれ着眼点が異なります。奈良ではこういうことを目標にやっていこうと決めて、ICTを使うことの有効性を確認していくことができれば前に進むことができるのではないかと思います。本学では、3年前の改組のときに、一方でICTを強調しつつ、一方で板書を必修の授業にしました。やはり授業の基本は板書です。アナログを基本としつつ、デジタルをいかに上手に組み合わせるかがICT活用のポイントだと思います。本学の附属でICTの整備を進めるにあたって、私が最初に提案したのは、全教室に書画カメラを設置することでした。外で植物や虫の観察をして来たときに、それが何なのかを調べることがあると思いますが、教科書には載っていないが図鑑には載っているというときに、図鑑を書画カメラで写してみんなで共有することができます。また、今では全教室に電子黒板も設置されています。吉田電子黒板を使いこなすのは難しいですね。慣れてくると有効に使えるでしょうが、研修が必要です。教育研究所でも、一度附属学校の様子を見せてもらわないといけないですね。長友先ほどの書画カメラのような初歩的なことから始めると、抵抗感もなくなってきて、使い方も上手になってきます。また、効果があると思ったのが、体育のマット運動や鉄棒などの練習の様子をタブレットで撮影し、自分や友達の現状や成長を振り返りながら授業を進めるというものです。吉田確かに、そういう授業は素晴らしいと思います。ただ、それをするだけのマンパワーがなかなかないのが現状ですね。撮影のためAUTUMN 2014ならやま_4