ブックタイトルならやま2015春号

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概要

ならやま2015春号

民労働者が増加し、学校でも多様な文化的背景を持つ子どもたちが共に学ぶようになっています。そのため、自分のアイデンティティを見つめたり、他の文化に対する偏見やステレオタイプを見直すなどの内容が学ばれています。2つ目に、国を超えて支持される人権や民主主義といった共通の価値を学ぶことが重視されています。ただし、これらの価値を押し付けるのではなく、子どもたち自身が話し合いの中から気づいていくような教育方法がとられています。3つ目に、学んだ価値を社会の中で実践することが重視されています。例えば、「あなたは安いバナナと割高のフェアトレード(公正な貿易)バナナのどちらを買うか」といった価値観が対立する問題について話し合い、結論を導き出すような課題に取り組んでいます。以上のことから、ヨーロッパ評議会では、多様な文化や価値を持つ人々を尊重する一方で、国を超えたつながりを理念と実践からつくることが目指されていると言えます。私は、グローバル時代の市民を育てる上で、この実践から学ぶことは多いと考えています。最近、私は以上の実践に学びながら、日本の教育実践に活かしていくにはどうすればよいかを模索しています。その一環として、民間教育団体が実施する「地球市民育成民間教育団体の地球市民育成プロジェクトの様子プロジェクト(Global CitizenshipProject, GCP)」に注目しています。日本やアジアの大学生が参加するこのプロジェクトでは、約半年間にわたり研修を受け、地域で自分なりにできることを探して行動することが期待されています。私は、プロジェクトのワークショップや研修をサポートし、参加者へのインタビューを通して、プロジェクトの中で学んだことを考察する取り組みをしています。今後について素晴らしいカリキュラムや教材は大切ですが、私は、それらを使って教える教師の存在がより重要だと考えています。そのため今後は、教師を目指すみなさんがどのような内容を学ぶべきかという課題にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。今年は、日本とノルウェーの教員養成課程の比較研究を、ノルウェーの研究者と協力して進める予定にしており、互いの教員養成課程から良い点や課題を学んでいきたいと思っています。プロフィール学校教育講座はしざき准教授橋崎よりこ頼子専門は、カリキュラム論、市民性教育、国際理解教育。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了博士(学術)。博士課程在学期間に、イギリスヨーク大学でも1年間研究を行った。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、2012年より現職。奈良市立富雄中学校評議員など。SPRING 2015ならやま_12