ブックタイトルならやま2015夏号

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概要

ならやま2015夏号

ひと・あれ・これ―活躍する卒業生を紹介―「今に生きる学生時代の学び」私は今、奈良市立春日中学校に勤務しています。今年の4月に6年間勤務した奈良市立都南中学校から初めての転勤を経験し、新たな気持ちで頑張っているところです。両校にはさまざまな背景をもつ生徒が在籍していますが、彼ら彼女らがなかまと共に学び、成長していく姿に刺激を受けながら、充実した毎日を過ごしています。私が生徒と関わる中でいつも大切にしていることが二つあります。一つは、働き始めたころ先輩の先生に教わった「すべての生徒指導は授業から」ということです。中学校の教師にとって最も多くの生徒と関わることができる機会が授業であり、この授業の中で生徒と信頼関係を築くことができなければ、その後の生活指導等も生徒の心には届きにくくなります。また、さまざまな問題行動を予防するためにも落ち着いた教室の雰囲気づくりが必要ですが、そのような教室の雰囲気をつくるのも授業です。このような意味での「すべての生徒指導は授業から」という言葉であり、だからこそ「おもしろい授業」をしなければならないと考えています。とは言うものの、「おもしろい授業」とは何なのか、どうすればできるのかを悩む日々が続きました。そのようなときにいつも思いだすのは、大学、大学院でお世話になった竹田先生や田渕先生の姿です。学生時代の私は、両先生が実に楽しそうに、熱をもって話される講義の内容とその姿、人間性にひかれていきました。その後、両先生のゼミに入り、私が西洋史、社会科教育を専門とし、中学校の教師を志すことになるほど大きな影響を受けました。教師がその分野に精通しているだけでなく、教師自身がその学問、内容を「おもしろい」と感じていることが、生徒にとっての「おもしろい授業」につながるということ、そして「おもしろい授業」をする教師を生徒は魅力的に感じるということを両先生は教えてくださっていたのだと思います。この経験をもとに、私自身が「おもしろい」と思う教材、展開ができるまで教材研究を続けるということをいつも大切にしています。これは非常に時間のかかるものですが、授業の後に生徒が「社会科っておもしろいなあ」という言葉をかけてくれる時には、教材研究の苦労を一気に忘れることができるものです。もう一つは、「教師は一人だけでは生徒と向き合うことができない」ということです。生徒たちはさまざまな個性や背景をもつだけでなく、思春期を迎えた微妙な時期であり、生徒と良好な人間関係を築くことが難しいことも多くあります。しかし、その生徒に、同じ学年の女性の教師や養護教諭、部活動の顧問など多くの教師がそれぞれの立場から関わることで生徒が少しずつ心を開き、自分も良好な関係を築くことができるようになることがあります。このような時、私は大学時代のバスケットボール部の活動をいつも思い出します。指導者のいない状況の中で、同級生やマネージャーと協力し、試行錯誤しながら練習メニューや遠征の計画など部の運営を行っていました。キャプテンをさせてもらっていましたが、自分一人でできたことなど何もなく、先輩・後輩の力も借りながらチームがひとつになって活動していました。「チームで一つのことに向かう」ことをこの時に学びましたが、生徒に対しても同じことが言えると思います。全教師集団で一人ひとりの生徒と向き合うことで生徒を理解し、導くことができるのだと思います。教師となった今も、チームとして動くことのできる先輩やなかまの教師がまわりにいてくれることは本当に幸せなことです。奈良市立春日中学校教諭おおつかあつし大塚厚さん(教育学部学校教育教員養成課程言語・社会コース社会科教育履修分野平成18年3月卒業大学院修士課程教科教育専攻社会科教育専修平成20年3月修了)卒業旅行でエジプトに大学時代のバスケットボール部のなかまとマチュピチュで田渕先生の真似をしましたAftergraduation授業風景このように授業づくりにおいても、生徒との関係においても教師として悩むことは尽きませんが、そのようなときに常に私の支えとなり、道しるべとなるのは大学・大学院で出会った先生方であり、なかまとすごした日々にあるのだと感じる毎日です。SUMMER 2015ならやま_14