ブックタイトルならやま2015夏号

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概要

ならやま2015夏号

教育学部学校教育教員養成課程教科教育専攻英語教育専修3回生やまざきたかし山﨑隆史さん群馬県立高﨑高等学校出身附属中学校科学部のロボット世界大会優勝を支えた山﨑隆史さん附属中学校科学部は、昨年ロシアのソチで開催されたロボットコンテストWRO(World Robot Olympiad)の世界大会へ出場し、オープンカテゴリー中学生部門で見事優勝、世界一に輝きました。今回はその世界一を英語やプレゼンテーション指導などの様々な面で支えた英語教育専修の山﨑さんにお話を伺いました。帯同することになった経緯を教えてくださいきっかけは、前回の世界大会に参加した先輩からオファーを受けたことです。その先輩も、科学部が世界大会(スペイン)に参加するにあたり、英語のサポーターとして随行した英語科の方でした。私は英語を実際の環境で教えられる大事なチャンスだと思い、ともに行くことを決意したということが経緯です。準備期間にしたことは?準備期間での私の仕事は英語のプレゼンテーションを指導することでした。オープンカテゴリーが、「テーマに沿って組み上げたロボットについて英語で発表する」という部門だからです。具体的には、発音やイントネーション、効果的なジェスチャー、表情、そして声の大きさなどです。TEDのプレゼンテーションを参考にしたり、英語科の教授に質問したり、友人から参考書を借りて読み漁ったりもしました。また、担当した生徒たちとコミュニケーションをとり、時には悩みの相談に乗りました。世界大会で求められるレベルは高く、そのプレッシャーは大きなもので、苦戦している生徒たちにどのような言葉をかければよいのか、一晩中悩んだ時もあります。練習後には、自分の接し方のどこが正しかったか、また、これから生徒たちとどのように接するべきか、顧問の先生と遅くまで話し合いました。プレゼンテーションの練習はもちろん、生徒たちのケアも担当し、中学校という現場ならではの経験を積むことができたと自負しています。当日はどのような様子でしたか?当日は英語のサポーターとして、空港でのホテル交渉や道案内、現地でのトラブル対応など様々な場面で仕事をさせてもらえました。生まれて初めての海外経験で、むしろ生徒たちの方が慣れていましたが私なりに努力をしました。準備の段階から発表の時まで、私が最も力を入れていたのは質問対応の練習でした。これは英語圏出身ではない私たちにとっての難関でした。自分の用意した英文を話すことはできますが、審査員から当日きかれる質問は、いわばListeningとSpeakingの能力をフル活用する必要があり、この質問対応も点数に入るため、優勝を狙っていた私たちは本気で練習しました。生徒たちの付き添いだった私は、飛行機の中やホテルでも、彼らにひたすら英語で質問し答えさせていました。顧問の先生とは質問の予測リストを作成し、何をききとればいいか、どのように話せばよいのか、文字通りすきま時間を活用して練習しました。また、当日の出来事で印象的だったことはトラブル対応でした。参加するチームのブースが並ぶ中、反対側で準備していたチームがこちら側に向かって釘を打ち、それが貫通して飛び出してきたのです。保護者の一人が危うくけがをしそうになり、顧問の先生と抗議にでました。しかし私は物腰が弱く、相手に意見を述べても無視されたりはぐらかされたりでした。この時の出来事が非常に悔しく、また己の無力さを痛感させられました。これもまた、自分のチームを守る責任を体感し、必要ならば強く主張しなければならないことを学びました。生徒達とどのように接しましたか?特に気を使ったことは、挨拶と掃除、そして名前を呼ぶことでした。まず、科学部の部室へ入って「こんにちは」の一言。部活が終わって帰っていく生徒一人一人に「さようなら」も忘れませんでした。私はいわば新参者で、ロボットのことも大会のことも生徒たちの方がよく知っています。そのため、私にできる最大限努力しようと考えました。部室の掃除も積極的に参加し、活動をできるだけ共にすることで親睦も自然と深まったと思います。また、これは大学に来てから学んだことですが、人の名前を早く覚えると仲良くなることができます。指導の時には、名前を呼ぶようにしていました。大会の準備期間から当日まで、一貫して生徒に寄り添えるよう心がけました。挨拶や気持ちをしっかり言葉で伝えれば、特段怒る必要もなく、彼らと接することができました。必要ならば顧問の先生と相談し、また自分のその日の行いを評価することで毎日新しいことを学び、ノートにまとめていました。山﨑さんのことを教えてください私が英語の勉強を始めたのは中学1年生の学校の授業からです。英会話スクールに通った経験はなく、高校時代は塾にも通いませんでした。英語のテストもとびぬけて出来たわけではありません。しかし、私が奈良教育大学の英語教育専修に進もうと決めた理由は英語が好きだからです。そして、その英語の楽しさを誰かに伝えることもまた楽しいと思うからです。この大学に来てから、今までWritingとReadingだけを繰り返していた作業のEnglishからCommunicationを中心とする言葉としてのEnglishを学んでいます。それは、奈良県特有のプログラムで、例えば東大寺で英語の観光ガイド体験もしました。私にとって、この大学は英語のアウトプットの場であり、今までどうしても足りなかった経験を、様々な角度から積ませてもらっています。少人数制もあって、発言もしやすい環境で個人の能力を伸ばすにはもってこいだと考えています。19_SUMMER 2015ならやま