ブックタイトルならやま 2015秋号

概要

ならやま 2015秋号

ラボ・レター─学生による研究室紹介─学校教育教員養成課程教科教育専攻社会科教育専修歴史学にしだまこと西田慎研究室F rom教育学部学校教育教員養成課程教科教育専攻社会科教育専修3回生かくぼさとこ角保智子さん広島県立呉三津田高等学校出身西田研究室の紹介社会科教育専修の学生は、2回生の後期の最後に所属する研究室を決めます。社会科には、日本史、西洋史、地理、経済などの専門的な研究室だけでなく、社会科教育に特化した研究室など幅広い分野の研究室が用意されています。西田研究室は、「西洋史ゼミ」という名目ですが、基本的には東洋史なども含め、日本史以外のすべての世界史を研究することができます。比較的新しい研究室ですが、今年度より徐々に所属人数は増えつつあります。学生同士の交流西田研究室は、そのゼミの特徴から、学生のうちに留学をしてさまざまな経験を積んでいる人が数多くいます。たまに開かれる院生も含めた交流会では、それぞれが経験した外国での出来事をよく共有しています。ある国の生活環境や、日常的なマナーなど、自分の研究に関係のなさそうな国の話でも興味を持って聞くことができます。大学生は、高校生までとはちがい、夏期休業や春期休業の期間が長く設けられています。その期間を、部活につぎ込むかあるいはほかの自分の時間として費やすかは自由ですが、大学生のうちにしかできない経験をすることもありということで、私の研究室の友人は、丸ごと1カ月使ってヨーロッパへ単身旅行に行きました。かなり勇気がないとできない決断ですが、彼女の様子を見ていると、その決断がかなり有意義な毎日につながっていることがよくわかります。このように、多方面からさまざまな国や地域の情報を収集できることも、この西田研究室の大きな特徴だということができます。幅広い研究分野先ほども述べたように、西田研究室のいちばんの特徴は、広範囲におよぶ研究のテーマを選択できるところにあります。西田慎先生は、ドイツの大学で勉学に励まれ、その専門分野もドイツ現代史やドイツ政治史ではありますが、研究室にはドイツに限らずたくさんの国や地方に関する文献が用意されています。そのため、所属する学生の希望する研究テーマもフランス史であったり、ある特定の地方のジェンダー史であったり多岐に及びます。ゼミでの活動は、毎週1コマでまずはドイツの文化史について書かれた著書をひとつずつ全員で読み進めていくところから始まります。順番に学生がひとりずつ担当する著書の範囲をレジュメにまとめてきて、先生も交えて読解していきます。なかなか難しい表現もありますが、そこは自分たちで調べたり、先生に解説していただいたりしながらそれぞれの理解を深めています。ちなみに私は、高校のときに日本史と倫理、政治経済を中心に学習し、大学を受験したため、世界史の知識は世界史Bを学習した人には及びませんが、ドイツの歴史を研究したかったため、この研究室を選択するに至りました。基礎的な事項から勉強しなおすことも、よい刺激となっています。みなさんもぜひ、研究室を選ぶ際には高校までに選択していた分野にとらわれずに、自分のやりたい研究テーマを支援してくれるゼミを見つけることをおすすめします。ドイツにおける移民のナショナリズム形成卒業論文に関するコメントこの研究室では、3回生前期の最後に卒業論文を執筆するまでの方法から詳しく学びます。論文制作のために、4回生になるまでにたくさんの書物を読んでおくことをおすすめします。いきなり難解なものを読み取らなくても、自分の興味のある範囲から徐々に読んでいくだけでも論文の糧になるはずです。卒業論文テーマとその要旨「ナチスによる大量虐殺とその背景」戦時中にナチスによって引き起こされたユダヤ人やマイノリティの人々の大量虐殺について、その背景を当時の史実をたよりに研究していきます。現在、ドイツは総人口の約2割を「移民の背景を有する人々」が占めていると言われています。ドイツで生まれ、ドイツ語を母語としながらもまだ見ぬ自分のルーツに複雑な感情を抱く移民たちのナショナリズムがどのように形成されていったのか、現代にも続く課題を研究していきたいと考えています。大学院修士課程教科教育専攻社会科教育専修1回生にかいどうたいき二階堂泰樹さん9＿AUTUMN 2015ならやま