ブックタイトルならやま 2015秋号

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概要

ならやま 2015秋号

クローズアップ本学教員の研究を詳しく紹介新反応で分子をつくるはじめに私の研究室では、有機化学の教科書で学ぶことを基礎として、新しい有機合成反応の開発を目指しています。私たちの身近にある医薬品の多くやプラスチックなどは、有機合成によりつくられています。そのため、有機合成反応の研究をすることは、今まで合成が不可能だった医薬品を作ることを可能にしたり、現状よりコストや時間の少ない、また環境にやさしい製法の発見につながります。最近の研究について紹介します。新反応の開発のために、反応性を高める部位(カルボニル基、C=O)を炭素─炭素二重結合に3つ導入した物質(エテントリカルボン酸誘導体1,図1(以下有機化学の慣例で構造式は炭素と水素を省略しています、Rはアルキル基の略号です)および、図2(その最も単純なトリエステルの3Dモデル)を、利用しています。この分子は、単独でも反応性が十分高いですが、触媒を用いることにより、より反応性が高くなります。従来、カルボニル基を炭素─炭素二重結合に2つ導入した物質が、有機合成では有用に利用されていましたが、3つ導入することにより、反応性がさらに向上し、これまであまり進行しなかった反応も進行することがわかり、種々の薬などに有用なヘテロ環(2種類以上の原子を含む環状化合物、ここでは主に酸素や窒素と炭素を含む)や炭素環の骨格等を合成することに成功しています(図3)。以下、研究の1例をあげて説明します。OOR 1 O OR 1OY1Y=OR, NRR’(図1)エテントリカルボン酸誘導体(図3)エテントリカルボン酸誘導体を用いた反応で合成した種々のヘテロ環および炭素環化合物(図2)3Dプリンターで作成したエテントリカルボン酸トリメチルAUTUMN 2015ならやま_6