ブックタイトルならやま2016夏号

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概要

ならやま2016夏号

W羅盤NS針E奈良教育大学の取り組み全学ポートフォリオシステム奈良教育大学では、教員を目指す学生の学びをサポートするために、平成27年度より「全学ポートフォリオシステム」を導入しました。「ポートフォリオ」とは何か、このシステムが目指す学びとはどのようなものなのか、学生はどのように利用しているのか、などについて紹介します。1教員を目指す学生にとっての「ポートフォリオ」本来「ポートフォリオ」という言葉は、自分の持っているものを蓄積させた「紙ばさみ(ファイル)」を意味します。蓄積させるものとして、例えば金融分野では証券などを指し、美術分野では美術作品になりますが、教育分野では学んだことや経験などを指します。米国の教員を目指す学生は、大学での学習や学校現場での実習でどれだけ力をつけたのかについて、一定の基準に基づいた判定を第三者から受けるために、学んだことや経験したことを綴ったものや、実際に授業をしている様子の動画を査定機関に「電子ポートフォリオ」として提出し、その結果を就職活動の中で活用する場合があります。学生たちは、電子ポートフォリオを作成するプロセスでさまざまな気づきを得ることができますし(このようなポートフォリオを「ラーニングポートフォリオ」といいます)、大学側は得られたデータを活用しながら効果的な指導戦略を考えることができるようになっています(このようなポートフォリオを「ティーチングポートフォリオ」といいます)。我が国でも、必ずしも米国と同じような形で運用しているわけではありませんが、教員を目指す学生の学習や、教員として就業してからの学習の質を高めるために、紙媒体や電子媒体によるポートフォリオを用いた学習のしくみを導入する教員養成系大学等が増えていきました。2学習ニーズと学び方の変化によって注目されるようになったポートフォリオかつて経済成長とともに近代化していった日本の教育は、本を読んだり訓練して覚えたりすることができる科学的な知見を効率よく効果的に伝授することを目指していたので、そのための方法の研究が活発に行われました。このような教育は、日本の教育水準を急激に高めたという評価を受けた一方で、効率よく(受け身で)吸収する態度をも育ててきたのではないかという指摘を受けることもしばしばありました。やがて、現代のように近い将来の展望でさえ不明確になるほど激しく変化し続ける時代に入ると、子どもたちが成長し、就業したときの仕事内容も複雑なものになり、高い専門性や判断力を要する職種が増加しました。このような職種は、伝達されたことを再現するだけでは仕事を完了することができませんし、さまざまな場合に対応できる高い判断力が求められますが、そのような能力についてはマニュア7_SUMMER 2016ならやま