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概要

ならやま2016秋号

クローズアップ本学教員の研究を詳しく紹介都市における問題解決のために~数学とコンピュータを使って~ふるた次世代教員養成センター准教授古田たけひろ壮宏オペレーションズ・リサーチとは私の専門分野はオペレーションズ・リサーチ(以降、OR)といいます。ORという言葉を聞いたことがない方も多いと思いますので、まず、ORについて簡単に紹介します。みなさんは問題解決を図る場合、どのように行っていますか?問題解決のためには、現状の評価や、適切な目標設定、解決手段の検討・評価・選択、解決策実施の後の評価などの様々なプロセスがあると思います。ORは、これらのプロセスを科学的に進めることを支援するために、「問題解決において、与えられた様々な制約の中で最適な行動・戦略を見つけるための道具・方法を追究する学問」です。そして、この道具や方法に数学やコンピュータを使います。身近な具体例としては、学校の時間割、コンビニの配送計画・在庫管理、看護師の勤務スケジュール、スポーツの試合日程などでしょうか。いずれも様々な制約(時間やコストなど)のなかで実行可能な良い解が必要とされますが、人手による試行錯誤には限界があります。そこで、現状や制約、目的を数学的に表現し、コンピュータを使って解くことで解決策を示すことを目指すのがORになります。このほかにも、医療、交通、物流、政策評価など様々な分野で実際に用いられており、企業によっては数億円の改善効果を上げています。このように、ORは、学校で学んだ数学やその他の知識が実社会に役立つことを日々体感できる分野でもあります。都市のOR(オペレーションズ・リサーチ)様々な分野・問題を対象とするORですが、私が主に対象としているのは「都市空間」です。そこで、中学校数学で学習する内容と関連する、都市の非常に基礎的な分析に利用できる道具を、救急システムを単純化した例を用いて紹介したいと思います。救急呼び出しが発生したときに、最も近い消防署から対応するとしましょう。図1のように正方領域からなる仮想的な都市(人口は一様に分布すると仮定)を考え、そこに3つの消防署(赤丸)があります。中学校1年生の数学で学習する道具を使って、どの消防署が最も近いかを表す境界線を引いてみてください(次ページに解答があります)。さて、救急車に期待されることのひとつに、救急現場にいち早く到着することが挙げられます。救命措置が早ければ早いほど、患者の生存率および予後が良くなるとされており、最近の救急車には、法律で定められた範囲の救命措置を患者に対して施すことができる救命救急士が搭乗していることが多いです(もちろん、AEDや止血など一般の人でもできる応急処置でお互いに助け合うことは必要不可欠です)。消防白書によると、この救急車が通報から救急現場に到着するまでの時間(以降、現場到着時間)は、平成26年消防署A消防署B消防署C図1赤丸が消防署を表します。最も近い消防署がわかるように境界線を引いてください。AUTUMN 2016ならやま_10