ブックタイトルならやま2016秋号

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概要

ならやま2016秋号

かが必要であり、実際に道路網の形状によって、直線距離と道路距離が大きく異なることがあります(図4)。図5でSからGまでの最短経路とその距離を考えてみてください。誌面の都合上、詳細は省略しますが、シンプルな手順で、すべての経路を数え上げることなく計算でき、難しい数学は必要ありません(参考文献2)。最短経路問題は、カーナビや通信など様々なところで実際に使われています。消防署A3?1a11211c102d458f2消防署B消防署Aの方が近い消防署Bの方が近いb 15移動経路:S→移動時間:e5?→G図4平面での距離と道路での距離図5最短経路を求めてみよう。矢印の横にある数字がその線の移動時間です。現場との対話による問題解決私の研究では、複数の都市の救急出場データを統計的な手法などを用いて、どのような場所に救急呼び出しが集中しているか、どのような場所で現場到着時間が長くなっているか、などの現状を詳細に分析・評価し、現在のシステムを数理モデルで記述します。また、それらを用いて、救急車の配置場所を変更したらどのような変化が起きるかをシミュレーションしたり、より良い配置を求めるための最適化問題やその解法を考えたりしています。そして得られた結果を詳細に分析することで、モデルに不自然なところはないか、改善できないかなどをさらに検討します。このような分析や検討を現場の諸問題を考慮・反映しながら、実際の意思決定に役立つことを目指しています。なお、中規模都市で年間数千件、東京23区では数十万件の救急出場があるため、このような分析・計算には、効率よく計算するための数学やコンピュータの利用は必要不可欠です。最初に紹介したようにORは対象とする問題を選びません。私は、これまでに、消防関係者のみでなく、病院、商業店舗、通信など様々な分野の人と協働で問題解決を試みてきました。今後は、教育分野でも何かできないかを考えつつ、様々な問題解決の役に立てるよう、数学とコンピュータを使ってORをしたいと考えています。「問題」を解決したい方、一緒にORしてみませんか?興味を持っていただけた方への参考文献参考文献1岡部篤行・鈴木敦夫:『最適配置の数理』朝倉書店参考文献2 P.グリッツマン・R.ブランデンベルク(著)石田基広(訳):『最短経路の本レナのふしぎな数学の旅』丸善出版プロフィール次世代教員養成センターふるた准教授古田たけひろ壮宏専門は、オペレーションズ・リサーチ、都市計画。南山大学経営学研究科経営学専攻博士後期課程修了(2006)博士(経営学)。東京理科大学工学部助教、奈良教育大学プロジェクト担当准教授を経て、2014年より現職。AUTUMN 2016ならやま_12