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概要

ならやま2016秋号

ラボ・レター─学生による研究室紹介─学校教育教員養成課程教科教育専攻理科教育専修いしいとしゆき石井俊行研究室F rom石井研究室の紹介理科教育専修には大きく分けて、「物理学」、「化学」、「生物学」、「地学」のそれぞれの分野について専門的に研究している研究室と、学校や社会における教育としての理科を研究する「理科教育学」の研究室があります。石井研究室は後者に含まれ、主に児童・生徒が理科の学習を行う上でどのようなところに苦手意識をもち、つまずいてしまうのかを見いだし、その解決のためにはどのような指導や教材が有効かといった、現場で活かすことができる実践的な研究を行っています。石井俊行先生は大学の教員になる前は中学校で教鞭を取っておられた経験から、“現場のための研究”を重視されています。また、研究についてだけでなく、学生生活や就職など、あらゆる面で情熱的に接して下さいます。研究室の特徴大学院教科教育専攻理科教育(文化財科学を含む)専修2回生研究は教材や教具を考案して終わるのではなく、それを実際に児童・生徒の理科の授業で使用してもらい、その結果を検証しています。しかしその分、授業に使用する教材等の作成や指導法の検討にはより綿密さが求められます。そのためには、一人ひとりの努力はもちろん大切ですが、石井研究室では各々の学生の研究をゼミで共有して、お互いをサポートし合いながら研究を進めています。発信する力の養成やとも八朝りく陸さん大阪府立池田高等学校出身石井研究室では卒業論文、修士論文を作成する中で、全ての学生が学会に発表者として参加する等、研究成果を大学外にも発信する力を養っています。自分の研究をどうしたら他の人により分かりやすく伝えられるか、興味を抱いてもらえるか、といった視点で論文を書くことが大切だと学んでいます。週に1回、全員参加のゼミがあります。それぞれの学生の研究報告があり、先生の助言のもと、学生主体で議論し合うといった形をとっています。入門当初はたくさんの指摘を苦に感じることもありましたが、自分だけでなく他の人の視点で指摘してもらうと気付かされることが多く、議論を重ねていくうちにより良いものが出来上がっていくことを実感しています。自分の研究だけではなく、仲間の研究も真剣に考えることで、幅広い視野で理科教育について考える力が身についていくものと思います。また、結果を学術的に検証するためには「統計学」が必要になります。石井先生が初心者にも分かりやすく説明をしてくださいますが、様々な分析手法があるので、自分達でも調べて学び続ける必要があります。卒業論文の研究だけでなく、将来自分で研究する際もきっと役に立つと思います。教育分野は、数多くの要因が絡み、なかなか正解が見つけにくい領域だからこそ、お互いの議論や学生同士の支え合いが必要不可欠です。自然と学生同士の交流が生まれてくることも石井研究室の魅力です。私の研究の紹介私は、目に見えない電気分野の効果的な指導法について研究をしています。学部では、小学校理科に電圧概念を導入した際の教育的効果に取り組み、学会発表をはじめ学術雑誌(「小学校理科に電圧概念を導入することの効果~電気学習の新たな試み~」,科学教育研究, Vol.40,No.2,2016)への掲載など、貴重な体験をすることができました。大学院では電熱線の太さと発熱量の関係の指導法について研究を進めています。私は、学部では中学生が電圧と電流の関係をイメージしやすい水流モデルの型はどうあるべきかを中学生の意識面から考察し、理科教科書に掲載すべき水流モデルの型について研究しました。これを今夏、日本理科教育学会全国大会で発表し、大舞台での発表の経験を得ることができました。大学院では、熱の実態調査を中心に、どのように熱概念を構築していけばよいのかについて研究を進めています。私は、小学校6年生の「てこのはたらき」の単元に、普段使っている「つめきり」(連結型てこ)を導入し、その仕組みについて観察させて考えさせることで、児童に科学の有用性を感じさせることができるのではないか、という仮説のもと研究を進めています。児童に実感を伴った理解をさせることで、中学校に進学しても理科離れを防ぐことにつながると考えています。大学院教科教育専攻理科教育(文化財科学を含む)専修2回生やとも八朝りく陸さん大阪府立池田高等学校出身大学院教科教育専攻理科教育(文化財科学を含む)専修1回生あらかわ荒川ゆ友き希さん奈良県立奈良高等学校出身教育学部学校教育教員養成課程教科教育専攻理科教育専修4回生ますもと桝本ゆ有ま真さん奈良県立畝傍高等学校出身13_AUTUMN 2016ならやま