ブックタイトルならやま2016秋号

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概要

ならやま2016秋号

プロジェクトの進め方プロジェクトの具体的な内容は、奈良県内で伝承され、記録されているわらべうたを調べ、そのなかから特に地域性と独自性の高いものを選び、それらを教材として用いることでした。選曲の際、本学名誉教授である牧野英三先生の著書『奈良のわらべ歌日本わらべ歌全集』(京都:柳原書店、1999)と『大和のわらべうた』(奈良:音声館、1999)を参照しました。わらべうたを長く楽しめるようにアレンジこうして選曲したわらべうたは世界遺産の東大寺と春日大社に関連するもので、《奈良の大仏さん》《おん祭の歌》《大さむ小さむ》の3曲です。これらを、歌唱、器楽、鑑賞の活動の教材として、北條美香代先生が作曲・編曲しました。その際、小学校から中学校の音楽活動のレベルに相応しいものになるよう工夫しました。というのは、現行の教科書では、わらべうたはほとんど小学校低学年用の教材になっており、中学年以降は、わらべうたを歌ったり、演奏したりする機会がほとんどありません。小学校の中学年以降、中学校までわらべうたを演奏・鑑賞することにより、わらべうたへの親近感は小学校低学年にとどまらず、より長い間、わらべうたを楽しめるではないかと考えています。ミニコンサートの開催による、新しいわらべうたの形作成したわらべうたの作品に、指導案をつけ、今年3月に報告書としてまとめました。また、作成した教材の有用性を検証するために、今年度の大学院の新設科目「新しい学びと授業構成」において、大学院生との共演でミニコンサートを企画し、新しい形のわらべうたを披露するに至りました。今回はわらべうた3曲の取り組みでしたが、来年度以降は新しいわらべうたの教材開発にも取り組み、さらに、国語教育専修の学生によるわらべうたの朗読とのコラボレーションも考えています。作曲・編曲者による作品解説音楽教育講座准教授北條美香代今回発表した、奈良のわらべうたを元にした教材は、「わらべうた」を現代において伝承するため、現代の創作技法でアプローチした編曲作品、もしくはオリジナル作品です。例えば、《奈良の大仏さん》の器楽合奏版は、ソプラノリコーダー、鍵盤ハーモニカ、打楽器、ピアノという編成で編曲しましたが、皆さんも子供の頃遊んだであろう、鬼遊び歌「かごめかごめ」との共通点を意識して、直接その旋律を用いています。ノスタルジックな雰囲気を醸し出せるように伴奏部も工夫しています。《おん祭の歌》の器楽合奏版、ピアノ独奏版、これらはいずれも、れも、祭りの荘厳な雰囲気を出すことを心がけた作品になっています。鑑賞教材用として創作した、《大さむ小さむ幻想曲》は、フルートとピアノという編成のオリジナル作品ですが、ピアノパートに少し新しい響きを用いることで、わらべうたとはまた違った雰囲気の作品になっています。AUTUMN 2016ならやま_8