ブックタイトルならやま2017春号
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ならやま2017春号
クローズアップの名前を刻み、地元のバス会社に寄贈し、バス停に置いて木の温かみと山の手入れの重要性を知ってもらうというワークをしました。合間の時間はすべてグローバルとローカルをつなぐ交流でした。論文ではそれを発展させ、「世界の南北問題」と有機農業の展開との関わりを、スリランカをフィールドに研究しました。学生時代の研究おじろ神戸の大学、小代との出会いそろそろ研究の話に移りましょう。私が卒業論文で扱おうと思ったのは、「普通の田舎」にある、見過ごされている「宝物」。当時、広島大学に通っていた私は、広島周辺の茅葺き民家の分布の変化と存続要因に着目しました。しかし、空中写真で屋根が茅葺きかどうかを判断するのは困難でした。そこで思いついたのが、前年に旅した岩手県遠野市の「南部まがりや」。上から見てL字型のこの家屋様式は、人と馬とが一つ屋根の下で暮らしてきた名残です。1948年米軍撮影から近年に至るまでの空中写真でひたすらL字型とそうでない家屋を識別し、マッピング。現地では50日間、4世代同居の方のお宅に「小さい子への絵本の読み聞かせを毎晩すること」を条件に居候させてもらいながらフィールドワークを行いました。大学院では、「持続可能な開発」や「持続可能性」が世の中で理念的に強調されていることが気になり、その代表的存在のひとつである有機農業と、地域の社会経済との関わりを研究したいと考えました。修士論文では、日本の有機農業の特徴と、有機農業を行政や農協が中心となって早くから推進してきた宮崎県綾町の状況を調べました。博士博士論文を書いている頃、一通のメールが届きました。タイトルは、「新設大学専任教員就任のお願い」。神戸に観光文化学部のみの新しい大学を設立するので関わって欲しいとのことでした。しかし世の中はそんなにうまくいくことばかりじゃありません。その大学を運営していた法人は経営難に陥り、大学設立の8年後には学生募集停止。学生と教員の多くは別の大学に引き継がれ、私のいた大学は廃止に至りました。とはいえ、海辺の新しいキャンパスでのクリエイティブな仕事や学生たちとの時間は、実に喜怒哀楽に満ちていました。その大学で出会った場所のひとつが、小代。兵庫県の職員さんらと一緒に訪ねたのがきっかけとなり、観光振興や地域づくりに関わらせていただくことになりました。全国の黒毛和牛の99.9%以上を子孫とする名牛を育んだすごい地域…ということは当時まったく知りませんでしたが、山の暮らしのすごみやストーリー性を生かした取り組みを地元の方々と育んできました。250回以上はお邪魔していると思います。「日本で最も美しい村」連合への加盟や、国際ワークキャンプの実施も地域の方々と一緒に行いました。大学院生の頃の私。ドイツのベルリンにて。日独ESD地理教育プロジェクトに参加しましたスリランカの有機プランテーション茶園で働く女性たち11_SPRING 2017ならやま