ブックタイトルならやま2017春号
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ならやま2017春号
F rom書道科のゼミについて書道教育専修には、楷行草書、篆刻・篆隷書、書道理論・作品研究、書道教育専修それぞれの専門の研究室があります。2回生の末にどの研究室に所属するかが決まり、3回生から研究室ごとにゼミが始まります。谷川研究室について私が所属する谷川研究室は、書道理論・作品研究を専門としています。今年度は3回生3名、4回生3名、院生1名の7名で活動しています。書道理論・作品研究を主としているので、書くことはあまりせず、作品への鑑賞力を高め書道の知識や理論について学んでいます。現在は3月16日から20日に教育資料館にて開催される「近代日本の書~明治・大正を中心として~」に向けて、展示する作品の釈文や解説文などを制作しています。この展覧会では明治時代や大正時代を中心とした日下部鳴鶴や中林梧竹などの、明治時代や大正時代の書道界を代表する人物の書作品を約100点展示します。「近代日本の書」を開催するにあたり、事前準備として明治時代や大正時代の書道理論についても学んでいきました。また、この他にも「書園」という外部から依頼を受けた競書雑誌のコラム欄にて、書論の解説をしています。毎月、自分たちで漢文を書き下し、それを谷川先生に添削していただき、関連する書作品を集めて書の魅力を発信しています。これをすることで、日本ではあまり知られていない中国の書家について学べ、書家についてもより専門的に学ぶことができます。書道の作品だけではなく、谷川先生が購入された珍しい美術骨董品も鑑賞することができ、また違った観察眼を養うことができます。教育学部学校教育教員養成課程伝統文化教育専攻書道教育専修4回生谷川研究室の特徴にしださくら西田咲良さん私立関西大倉高等学校出身谷川研究室では作品制作だけではなく、書道についての理論や知識についても学んでいます。谷川先生は、中国に何年もラボ・レター─学生による研究室紹介─学校教育教員養成課程伝統文化教育専攻書道教育専修たにがわまさお谷川雅夫研究室住まれていたため、中国語を話すことができ、中国についての幅広い知識をお持ちです。そのため、書道の原点である中国のことを深く知ることができます。歴史的背景やその書家の人物をより深く知ることで、自分の書風というものが確立でき、よりしっかりとした作品を書くことができるようになります。また、書道教育専修のゼミでも谷川研究室だけが、研究室が主催・運営を行う展覧会を開催しています。そのため学芸員を目指す人も多くなっています。学生が主体となって展覧会を運営していくので、学芸員に必要となる知識を実践的に身につけることができます。堅苦しく、難しそうなイメージを持たれがちですが、和気藹々とした雰囲気で回生の隔たりなく楽しくゼミ活動をしています。ゼミ生の卒業論文について今年度は香川出身の学生が地元の丸亀の藩主の書についてその時代の色を出しているかどうかを研究した「京極氏の書について」や、人気のある書家相田みつをの書いている文字に着目し、「相田みつをの書の特徴と魅力について」というタイトルで論文を書いた学生もいます。特別字形が美しいわけではないのに世界中の老若男女に愛されている理由について迫るため、相田みつをの書の特徴と魅力などを考察することにし、相田みつをの書から学んだことを今後の書作活動に活かしていく術を述べています。昨年度は、篆刻家園田湖城につい教育学部学校教育教員養成課程伝統文化教育専攻書道教育専修4回生まえだ前田ちひろさん愛知県立豊田北高等学校出身て、近代日本の篆刻家園田湖城の自刻印譜「江左窟印存」より、刻風による整理分類をし、湖城の古印研究の様子を探った人もいます。私は書と心理学を結び付けた“筆跡心理学”というものにスポットを当て、“筆跡心理学の現状と学校教育への活用”というタイトルで論文を書きました。書道を学んでいく中で、書を芸術分野にとどめておくだけではもったいないと感じるようになり、将来学校現場でも活用できるような方法について研究し、まとめました。13_SPRING 2017ならやま