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概要

ならやま2017秋号

F rom研究内容本研究室では宇宙から来るエックス線を観測し、様々な天体現象の解明に取り組んでいます。私たちが目にしている宇宙は可視光で見えるごく一部でしかありません。それをエックス線という波長の短い光を使うことで、新しい側面から宇宙を見ることができます。エックス線は100万度以上の高温物質から出てくるため、ブラックホールなど活動性の高い天体を観測することができます。また、本学では昨年3月に天文台を新調し、最新の天体望遠鏡とドームを導入しました。より精密な画像を撮るために、ドーム内を無人にして研究室から天文台を遠隔制御できるように改良しました。これにより、冬の寒い日でも屋内から綺麗な天体観測をすることができます。研究活動教育学部学校教育教員養成課程教科教育専攻理科教育専修4回生にしのともみ西野友美さん奈良県立奈良北高等学校出身研究には物理や地学の基礎知識が必要です。そのため、学生同士がゼミを行い、その勉強をしています。高校で選択していない場合でも一から勉強することができます。さらに、研究内容と結びつけながら考えることで、実践的でより深い理解につなげています。主な研究方法は最新のエックス線天文衛星を用いた観測です。そのデータをパソコンで解析し、大きさや温度などの天体の性質を詳しく調べます。その情報から、天体がどうやってできたのかを考察します。週に一度、研究室メンバー全員が集まり、研究の途中経過について発表・議論をし、意見を出し合っています。秋ごろからは3回生もゼミに加わり、4回生の研究経過を聞きながら自分の興味のあるものを探していきます。ゼミ合宿もあります。より宇宙に関する知識をつけるために、天文学・宇宙科学に関する場所で行うこともあります。その他の活動ラボ・レター─学生による研究室紹介─学校教育教員養成課程教科教育専攻理科教育専修のぶかわまさよし信川正順研究室天文台を一般公開し、定期的に教職員・学生の皆さん、一般の方を招いて観測会を行っています。教科書や図鑑で見たような惑星を自分で実際に見ることは思っているよりもとても難しく、見ることができた時には感動します。また、サイエンスのイベントに参加し、小学生と一緒に望遠鏡を作る活動にも取り組んでいます。学校現場で授業を実施するなど、教育実践も積極的に行っています。白色わい星連星系うみへび座EXにおける非平衡プラズマの発見説明▲白色わい星は太陽と同程度の質量を持ちながら、大きさが地球程度しかない強重力の天体です。別の恒星と連星である場合、恒星の一部が白色わい星に降り積もり、1000万度以上の高温プラズマが生じます。私はその1つである、うみへび座EXのエックス線観測を行い、高温プラズマが非平衡状態にあることを発見しました。このことからプラズマの生成機構の解明に取り組んでいます。いて座E領域の分子雲のエックス線観測説明天の川銀河の中心領域にあるいて座E領域をエックス線観測したところ、分子雲から強い鉄輝線放射を発見しました。エックス線は1000万度以上の高温天体から出てきますが、分子雲は摂氏-260度しかありません。私の研究の結果、500光年離れた位置にある巨大ブラックホール「いて座エースター」がかつて大フレアを起こし、その時のエックス線が分子雲で反射されていることがわかりました。▲教育学部学校教育教員養成課程教科教育専攻理科教育専修4回生さこ迫教育学部学校教育教員養成課程教科教育専攻理科教育専修4回生にしの西野たかし聖さん愛知県立千種高等学校出身とも友み美さん奈良県立奈良北高等学校出身13_AUTUMN 2017ならやま