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概要

ならやま2018春号

研究室のメンバーと。卒論の合間に。学生の卒論から学ぶことも多いその結果、一学期に観察した「見せる」行為のうち、60パーセントが保育者宛であったのに対し、三学期では70パーセントが他の子ども宛であったことがわかり、次第に保育者より友達に、つくった物を見せるようになることが推測されました。そして、ある一組の女児同士の間で交わされた「見せる」行為を追ってみると、時期によって「見せる」行為のもつ意味が異なっていることがわかりました。一学期はつくった物を見せることで、「同じ物をつくったね」と伝え合い、仲間としての関係づくりをしていました。二学期は「同じ物をつくる」という目的に向かって、物を見せ合って協働していました。三学期は、「同じ物」から離れ、お互いの物を見せて刺激を受け合いながら、自分のオリジナルの物をつくっていました。「見せる」行為は、子どもが物に託した言葉を共有する行為ですが、相手とどんな関係になりたいかで、その都度、機能が異なるのではないかと考えられました。子どもに学ぶ子どもたちを見ていると、その成長の原動力は「憧れ」にあるのではないかと思います。子どもたちは憧れの対象を真似するのが得意です。そんな姿に、私たち大人も学ぶところがあるのではないかと思っています。誰からも学ぶという姿勢をもちつつ、自分の視点も大切にして、子どものように学び上手な人になりたいと願っています。プロフィール学校教育講座さがわ准教授佐川さ早き季こ子専門は乳幼児心理学・保育学(幼児の造形表現、保育の質に関する研究)。東京大学大学院教育学研究科博士課程を修了(2016)、博士(教育学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、奈良教育大学特任准教授を経て、2017年から現職。SPRING 2018ならやま_12