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概要

ならやま2018夏号

歌で人を幸せにする最近の研究大学時代はイタリアオペラ作品に魅せられ研究し、大学院に入ってからはオペラと並行してスペイン歌曲の音楽の演奏法について研究をしてきましたが、私の根本にあるのは歌を始めるきっかけとなった「歌で人を幸せにする」という想いです。研究室の学生には声楽の知識や技術だけでなく、人に伝える想いを歌を通して学び、将来教員になった時に子ども達に歌うことの楽しさを伝えてくれればと願っています。老人ホームでのコンサート歌は言語に支配されているという点に興味をもっています。イタリア語で書かれた歌にはイタリア語の響きやニュアンス、アクセントがあるのと同じように日本語には日本語の美しさや抑揚があり、それぞれ曲は書かれた言語によって支配されています。多くの声楽初心者はイタリア語をローマ字読みしがちですが、日本語に依存したローマ字の発音ではニュアンスもリズム感もイタリア語とは異なってしまい、その作品の表現解釈が作曲者の解釈から遠のいてしまう危険があります。また逆にイタリア語に依存してしまったまま日本語の歌を歌ってしまっても同じことが言えるでしょう。イタリアの演奏はイタリア人の演奏で、ドイツの歌はドイツ人の演奏でというように、その国の言語を話す人の演奏を聴くこと、上手な歌手の演奏をたくさん聴くことをお勧めします。グローバル化が進む現代、海外の歌や歴史を知ることはもちろん、海外の人たちに向けて日本の声楽作品を日本人として誇りをもって歌うためにも言語の特徴から表現方法を研究していきたいと考えています。プロフィール音楽教育講座みずの専任講師水野あれき亜歴専門は声楽。東京音楽大学大学院声楽専攻独唱研究領域修士課程修了(2013)修士(音楽)。東京音楽大学非常勤助手、奈良教育大学特任講師を経て、2018年より現職。SUMMER 2018ならやま_12