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概要

ならやま2018夏号

ラボ・レター─学生による研究室紹介─学校教育教員養成課程教科教育専攻美術教育専修はらやま原山研究室活動の流れ美術教育専修には、美術科教育、絵画、工芸の研究室があり、3回生から研究室に所属して研究を行います。私たちが所属する原山研究室は工芸(陶芸)を専門とする研究室です。原山研究室には3回生2人、4回生3人、大学院1回生1人の6人が在籍し、学年ごとに週に1回のゼミ活動があります。3回生の前半では、陶芸の基本技術であるロクロの技術習得に取り組みました。柔らかい土を回転させながら器の形に作り上げてゆくロクロの技術は、わずかな歪みやブレがあるだけで器の形にならず、集中と緊張感が必要な難しい技術です。ですが上達してくると、日常使う器を自由に作ることが出来る面白さがあります。今年度の卒業制作ではロクロで土鍋作りに取り組む学生もいます。冬には美術教育専修と文化遺産教育専修が共同で行う作品展「青丹彩」があり、原山研究室の学生も陶芸作品を展示しました。ただ作品を作るだけでなく、自分の作品に合った展示台を準備したり、作品が映えるように照明を工夫して展示するという事は、自分が作品に込めた「思い」を見る人に「伝える」という事の大きな勉強になったと思います。陶芸と学校教育けん健いち一研究室陶芸を学ぶ事からは、もの作りの技術を学ぶ事や、自分自身を表現する事、そして使い手が実際に使う事を想定する事と、幅広い学びがありかまます。ですが陶芸には作品を焼く(焼成する)ための窯が必要であるため、学校教育現場においては設備がないために授業において陶芸を扱うことができない学校が多く存在します。この問題に取り組むため研究室有志のプロジェクトとして、持ち運びができる簡単な窯を作り、これを使った授業開発についての研究をしています。陶芸では通常、作品を焼成するために3日近い時間窯に入れる必要があり、作品は長い時間、作者の手元を離れます。更に陶芸作品は焼く前と後の変化が大きいため、児童・生徒は完成した作品を受け取った際に「どこかわからない場所でF rom教育学部学校教育教員養成課程教科教育専攻美術教育専修4回生左からまたのゆみ俣野友美さん京都府立亀岡高等学校出身みつい三井かおりさん奈良県立高円高等学校出身みねかわ峯川まなつさん大阪府立高津高等学校出身焼かれ、完成したもの」と感じてしまい、児童・生徒が自分の手で作り上げたという実感が乏しくなってしまうという問題があります。ですが、研究をしている技術は楽焼と呼ばれるもので、比較的低い温度かつ、20分程度の短時間での焼成となります。生徒が見ている目の前で作品を窯に入れ、取り出すことが出来るのが特徴で、児童・生徒にとっても自分の手で作品を作り上げたという実感を得られやすく、授業の題材として可能性のある研究です。研究室の魅力私たちは発足して3年目の若い研究室で、学生と先生が一緒になって研究室活動を作り出してゆく雰囲気があります。今年は、昨年度卒業した先輩の「自分の作品を他人に使ってもらう経験が一番いい勉強になった」という話がきっかけになり、大学祭で自分たちが作った作品を販売するという計画をしています。この様に、自分たちのアイデアをどんどん研究室活動に反映できるという自由な楽しさが原山研究室の魅力です。Student's Voice「親しみを持てる作品」についての研究と教育への展開美術における「良い作品」とは何なのか、美術館で見られる様な見る人を圧倒する作品だけでなく、身近に置きたくなる「親しみを持てる作品」も良い作品なのではないか、という視点で研究をしてきました。学部在籍時から引き続いて、化粧土(色のついた陶土)を使い陶板に日常的な風景をドローイングするという手法で、温かみがあり、親しみを持てる表現を研究しています。大学院教育学研究科教科教育専攻造形表現(美術・書道)・伝統文化教育専修1回生いしやま石山か佳な奈さん13_SUMMER 2018ならやま