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概要

ならやま2018夏号

2.他大学での努力の摂取学生・教職員の多様性の理解を促し、それぞれのアイデンティティを保障するため、特にジェンダーやLGBT等に視点をあてて、研修や環境整備等に取り組んでいる名古屋大学と早稲田大学の視察を行いました。名古屋大学のハラスメント相談センターでは、性の多様性も含む教職員向け研修と学生対応について話をうかがいました。教職員には着任時にハラスメントを未然に防ぐことを目的に、研修を実施しており、研修にはLGBT等のことも組み込んでいること、現在、LGBT等に関する大学としてのガイドラインを策定中とのことでした。また大学の体制に関していえば、ジェンダーやLGBT等に関してセクションがばらばらなため、統合する部門の必要性を大学に申し入れたところということです。こうして、ガイドライン策定に取り組む中でどの学部にどのような専門の教員がいるか、どのような授業をしているかが見えてきており、連携やカリキュラム開発は今後の課題となるということでした。早稲田大学のダイバーシティ推進室、GSセンター(Genderand Sexuality Center)、ICC(異文化交流センター)、障害学生支援室のそれぞれを訪問し、多様性について教職員向け対応と学生向け対応について話をうかがいました。教職員向け対応については2016年にダイバーシティ推進委員会を設置し、ダイバーシティ推進担当理事を置くかたちで取り組んでいます。出席簿の性別欄廃止、LGBT等を含むダイバーシティに関する教職員向け研修の開始、LGBT等に関する大学としてのガイドライン策定をめざすことなどがあげられました。学生向け対応としては、GSセンターはLGBT等当事者に対する相談支援、資料収集・展示、イベント実施などコミュニティスペースとしての役割を果たし、同時に啓発活動も行っています。ICCは留学生とそれ以外の学生との交流の場であり、学生スタッフ企画によるイベントを毎日開催、留学に関する相談などにも対応し、また国際社会におけるマイノリティの問題についても啓発活動を展開しています。障害学生支援室には、身体障害と発達障害の部門があり、学生が修学上必要な支援の提供、支援者養成講座・講演会・ランチ会といったイベントなど啓発活動の実施を行っています。多様性理解に向けた先端的取り組みを行っている両大学への訪問で、マイノリティの立場にある学生たちの権利保障のために、基礎知識などの啓発、制度や設備対応が重要であることを教えていただきました。予算等の制限はありますが、できることから始めること、各部門の連携が重要だと教えられました。本学のように教職員の距離が近い小規模大学は動きやすく、可能性を持っていることを再認識する機会となりました。SUMMER 2018ならやま_8