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概要

ならやま 2018秋

私の研究の流れの紹介私は現在、いくつかの非線形楕円型・放物型偏微分方程式を研究しています。その1つが図3の6にある微分方程式です((ラプラシアン)が微分に相当)。図3の2つの微分方程式5と6を比較すると、5の方がシンプルで、6はそれを少し拡張したものであることが見た目でわかります。ちなみに、どちらも解を具体的に書き下すことは不可能です。私は6を研究する際、5に関する過去の研究を参考にし、まずは5と6の類似点を調べました。実際いくつか類似点はあったわけですが、計算過程を吟味していくと、5と6の間に相違点が見つかりました。この相違点が新しい結果につながりました。その新しい結果と5の過去の研究を参考にし、さらに新しい結果を追究しているのが現状です。以上が私の研究の流れです。図12次方程式および簡単な微分方程式の例図2きれいに解くことができない5次方程式および微分方程式の例歴史を調べてみよう前節で、研究を行う際に過去の研究を参考にしている、と述べました。高校数学までのレベルであれば、これは数学の発展の歴史を調べることに相当していると考えられます。数学を勉強しているとき、「なぜこのような概念が出てきたのか」と思ったことはないでしょうか。その問いの解答は歴史に隠されています。あえて具体例は挙げませんが、歴史を調べるためにインターネットを活用してみましょう。ただし、間違った情報が記載されている可能性があるため、そこには注意を払いましょう。歴史を調べることによって、数学のより深い理解に加え、算数・数学を学ぶ意味を感じ取ってもらえれば、それは教育者としての私の本望です。図3私の研究対象である非線形楕円型偏微分方程式プロフィール数学教育講座たかはし准教授高橋りょう亮専門は偏微分方程式論。大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程を修了(2009)、博士(理学)。大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻数理科学領域助教、奈良教育大学数学教育講座特任准教授を経て、2018年から現職。AUTUMN 2018ならやま_12