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概要

ならやま 2019春

奈教は山を持っているらしい!?みなさん、奈良教育大学が山を所有していることをご存じですか?ひとつは、ESD防災教育で知っている人もいるかもしれませんが、奥吉野の大塔町赤谷にある演習林です。しかし、ここは平成23年に台風の被害にあって以来、以前のようには登れなくなりました。この山の頂上付近には大きな栃の木があって、その「ウロ」に裏山クラブ部員がわいわい押し合いへし合いしながら十人以上籠もったりして楽しんでいました。さてもうひとつはどこでしょうか?なんと奈良教育大学附属中学校にある通称「裏山」です。平城山丘陵の前衛峰です。その先には大和の春夏秋冬を見守る狭岡神社が鎮座しています。古代から、この地は長屋王をはじめ、藤原氏と縁の深い土地でもあります。そして、この裏山の山頂は、古墳になっています。県有林の竹林間伐実習園での田植え古式木登り(枝打ち法;ぶり縄)佐保川生態調査間伐作業3体験活動のバリエーションの豊かさが自慢です!裏山クラブには、活動を支えてくれる様々な人の繋がりがあります。三重県の宮川流域ルネッサンス協議会の活動に参加して出会った人たちとの交流は15年以上続いています。森山海の景観保全や地域おこし活動への参加は、地域が育んできた文化にも触れ、裏山クラブ員の意識を変え、活動の幅を広げてきました。ただ、景観や地域から恩恵を被るだけや、消費するだけではなく、自分たちでそれらをデザインして提供していく、そんな責任感が少しずつ子どもたちに育っていったと思います。現在、力を入れて取り組んでいるのは、奈良県から依頼された附中周辺の県有地の保全です。電気やガスが普及するに伴って、薪を集めていた里山は顧みられることがなくなりました。そのため、里山は放置竹林の姿となったり、ナラガレを引き起こし、森が荒れてきました。そこで、裏山クラブでは、竹林の間伐を行い、梅や橘、栗を植樹し、佐保・佐紀を結ぶ新「古道」づくりを、奈良教育大学の学生や留学生も交えて取り組み始めました。その結果、筍が多量に発生するようになったことと、かつて茶業試験場があったので茶の木が生えてきました。竹林で見えなかったのですが、70年のタイムカプセルが開いたようです。裏山クラブは、普段は仲間と好きなだけ森の中で遊んで過ごす時間を大切にしています。しかし、月に一度のワークでは体力を使います。男子も女子もチェーンソーが使えますし、木登様々な活動の中でりもできます。川遊びや、春日山の源流体験、多くの学びが田植えもします。そのなかで子どもたちは、いろありそうだね!!いろな発見をします。でも、一番の発見は、自分が気付かなかった自分に出会えるということです。そこから変わっていく子どもの姿に出会えることが、このクラブにかかわれる教師の喜びかもしれませんし、このクラブがここ附中にしかない理由なのかもしれません。活動の中での子どもたちの変容を、花王(株)様に注目していただき、花王・みんなの森づくり活動助成を通じ8年にわたってご支援いただいていることを最後に記しておきます。SPRING 2019ならやま_16