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概要

ならやま 2019夏

クローズアップ+キャリア教育の充実に向けてその後、大学院で研究の機会を得た私は、家庭科の視座からキャリア教育の研究に取り組むようになりました。キャリア教育というと、何かひとつの職業を決めることのように思われがちですが、実はその前に、しっかりと選択肢、可能性を広げることが大切です。研究の一環として、海外のキャリアカウンセリングプログラムの翻訳にも取り組みました。こちら(写真)は、カナダを始め世界6ヶ国で広く使われている“Career Pathways”を、日本の文脈に合わせて修正・応用したものです。このようなワークシートを活用することで、子どもたちがキャリア選択肢を拡大し、焦点化していく支援が可能になればと思っています。N.E.アムンドソン・G.R.ポーネル『キャリア・パスウェイ:仕事・生き方の道しるべ』ナカニシヤ出版2005ワークシート教師のためのキャリアカウンセリング教職大学院の担当となってからは、教師のためのキャリア教育に関する研究にも、力を注いできました。皆さんは、どのようにして教職をめざすようになりましたか?日本では、教職に関するキャリアカウンセリングが十分とはいえず、もしかしたら、教職に関するイメージを十分に持てないまま、進路を選択せざるを得なかった方もおられるかもしれません。現在、本学の先生方をはじめ国内外の研究者の方々と共同で、教職をめざす方や現職教員が、教職について振り返ったり、自己理解を深められるツールの開発を試みています。このようなツールが、教職に興味がある皆さんのキャリア選択の一助となれば幸いです。生活実践力をはぐくむ近年は企業との共同研究として、電子レンジ用調理バッグの開発に関わったり、電子レンジを活用した食育の実践にも取り組んでいます。電子レンジは、大変普及した調理器具であるにもかかわらず、これまで家庭科ではほとんど扱われることがありませんでした。しかし、新学習指導要領では、調理の基礎に関する内容として、コンロに限定されない加熱用調理器具の安全な取扱いについて理解し、適切に使用できることが求められています(小学校学習指導要領,2017)。特に、火を使わない調理器具の活用は、調理技能・技術が未熟な子どものみならず、高齢者や障がいのある方の自立支援にも寄与し得ると考えています。11_SUMMER 2019ならやま