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概要

ならやま 2019夏

奈教のひみつ“なっきょん’s CLUB”企画教育資料館の耐震改修リニューアルと出土遺物常設展示理科教育講座教授かねはら金原まさあき正明1教育資料館教育資料館は、耐震改修が2018年度に行われ展示ケースや内装もリニューアルされ、2019年5月に開館した。奈良教育大学の構内にあるこの教育資料館は、旧陸軍奈良聯隊の建物であり、陸軍歩兵五三聯隊が組織された1909年(明治42年)には建てられていたとみられる。食料を保存する糧秣庫であったとされ、建造に煉瓦を使用した時期の建物である。大学構内の新薬師寺旧境内の発掘調査(2008年)でも、同時期の将校集会所跡の煉瓦基礎が検出されている。本学には他に生協裏の射撃練習場の弾薬庫や、附属小学校北側の高射砲跡等にも煉瓦使用の建造物が残存する。奈良県内には当時の煉瓦造り建物はあまりなく、これらは貴重な文化遺産である。平入りで南側に1つ入り口があり、内部の空間は東西方向に通る構造になっている。耐震改修工事時の様相からは、当初東西に3部屋以上に区切られ、入り口は平側の南北両側の最低3か所に大きな引き戸があったことがわかる。妻側にも入り口があり現在は装飾として痕跡が残る。今とは異なる間取りであり、アメリカ軍の駐留時など何度か改修された痕跡教育資料館:旧入り口がわかるが認められる。現在教育資料館に入ると、第一室は絵画、仏像の石膏像、彫刻等が展示される。耐震改修時に確認された煉瓦基礎等の写真も展示される。その東側の第二室は戦後の教科書や古写真、木製机等が展示してある。これら2室は、企画展としても使用されている。東奥の第三室には、新薬師寺旧境内出土遺物を中心に吉備塚古墳出土遺物を加えた展示となる。第一室第三室2新薬師寺旧境内新薬師寺旧境内は、四町(約400m)四方もあり、奈良教育大学の東半分が範囲に入る。新薬師寺の創建と倒壊は、東大寺要録に「天平19年(747年)、光明皇后が夫聖武天皇の病気平癒のため新薬師寺を建て、七仏薬師像を造った」、「962年(応和2年)、大風により七仏薬師堂(金堂)等堂舎?倒」とあり、同日に東大寺南大門も倒壊している。新薬師寺ではその後残った奈良時代の建物を本堂として鎌倉時代に伽藍が再建され、大学の15_SUMMER 2019ならやま