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概要

ならやま 2020 春

挫折の連続事業がすべて順風満帆に進んだわけではなく、むしろ挫折の連続でした。当初、私たちは児童に宿泊学習をさせたいと思っていました。狙いは「互いの地域について学習する時間がたくさん取れる」、「寝食を共にして普段の暮らしについて知ることができ、児童同士の絆も深まる」などがありました。しかし、予算が想定よりも少なかったことや、宿泊学習の負担の大きさにより小学校の賛同を得られなかったりしたことから、事業内容の見直しが必要になりました。その後も協力校の選定が難航し、スケジュールが大幅に遅れ、協力校が決まってからも両小学校・県教育委員会・私たち学生の四者間でやりたいことやできることのすり合わせが必要になり、その度に事業の姿は変わっていきました。ここで初めてこれまで学びを受ける側であった私たち学生は、白紙の状態から授業や児童の学びを創ることの大変さを痛感しました。明らかに経験や想像力が不足しており、未熟だったと身にしみて感じました。何を目的に何をどう行うのか、児童はどのように考えるのか、どのような問題が起こりうるのか、限られた予算や時間の中で「理想」と「現実」の折り合いをどうつけるのか。さまざまな問題を指導教員の板橋先生や県教委、両小学校の先生方と話し合い、ご協力をいただいてようやく乗り越えることができたと思います。生涯学び続ける教師への道この事業を通して、将来の夢である奈良県の教員としての姿を想像することができました。今回は「奈良県の南東部の振興」や「発信する力を持った児童の育成」に焦点を当てましたが、そもそも私たち学生に奈良県南東部についての知識が不足していました。私たちは全員が奈良県北西部出身で、吉野町以南に行ったことがない学生ばかりでした。そのため児童のための活動を創る前に私たち自身が奈良県南東部について勉強する必要がありました。本学の授業である「地域生態論」を受講し、実際に川上村へ行ったり、本学教職大学院の取り組みである十津川サマースクールの授業見学をしたりと、私たち学生も奈良県についてよく勉強しました。すると学生の中からも「奈良県のことをもっと知りたい」、「奈良県にはこんな良さがあったんだ」といった声が聞かれました。児童に奈良県の良さを知ってもらいたいというためにやっていたことが、私たち学生が奈良県の良さを再発見する手掛かりとなったと思います。今回の事業を通して児童に何かを学ばせたいときは、まず自分がその学びに真剣に取り組む必要があり、児童の何倍も学び続ける姿勢があってこそ、その良さを伝えることができると実感しました。平城宮跡いざない館で展示物の説明をする様子広大な平城宮跡を児童と楽しみながら引率した平城宮跡フィールドワークで児童に説明する様子社会見学の最後のまとめの様子SPRING 2020ならやま_8