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概要

ならやま 2020秋号

クローズアップ+研究内容と教員養成の接続振り返ってみると、ツーリングは「地域を学ぶ」、研究は「地域で学ぶ」を理解することにつながったとも思います。各地で人びとと話して様々なものを見て「地域を学び」、そうした経験を研究活動に活かして「地域で学ぶ」意義について考えていきました。本学で教員養成に関わるようになると、教員の力量形成にはティーチングスキルを磨くだけでなく、学習内容を創造する力が必要ではないかと思うようになりました。地域学習は本来各地で内容が異なるため、教員が自ら教科書を作るような力量が求められます。そうした力量こそが、個々の子どもの実態に即した教育をする上で大切です。そこでゼミや授業では、過去の優れた取組から教育理論を学びつつ、実践的に地域学習の授業づくりをしています。具体的には、学生の出身都道府県に即して大和野菜や京野菜などの伝統野菜を調べ、半年かけて本学実習園で栽培から試食までを行っています。伝統野菜は地域の風土に根ざしており、地域学習に適した教材です。さらに、これを教科の内容にあてはめるなら、栽培の学習は生活科・理科・技術科、調理や食育とつなげるなら家庭科、生産から消費までの流通に着目すれば社会科、価格に注目して買い物の計算を交えれば算数・数学、栽培する野菜を題材に作文を書くなら国語、野菜の絵を描くことで図工や美術など、教科横断的な学習について考えることが可能です。幼稚園では「環境」領域、小学校1・2年生で生活科、3年生以上では総合的な学習の時間で扱うなどして、野菜栽培を軸に中学校・高校までの一貫カリキュラムとして構想することもできます。また野菜だけでなく、学生は出身地の事象をテーマに授業をつくり、実際に現地でフィールドワークをしながら模擬授業にも取り組んで成果を毎年冊子にまとめています。卒業論文や地域学習レポート等をまとめて研究室で毎年発行している『奈良教育史研究』と『地域学習研究』今年度オンラインによるゼミの様子11_AUTUMN 2020ならやま