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概要

ならやま 2020秋号

特集コロナ禍におけるオンライン授業の取組授業内容、授業の流れ科目名:生徒指導・キャリア教育「生徒指導」や「キャリア教育」に関わる知識や視点、実践イメージの獲得を目指す授業です。典型的な授業の流れは準備学習→動画視聴→個人思考→全体ミーティング→グループミーティングで、事前学習と授業時間に配信される授業動画から学んだ知識を用いて具体事例に関する見立てや指導支援案を作成し、グループミーティングで持ち寄って共有・ディスカッションを行うことで、知識やイメージの深化をはかりました。学長補佐(特命担当)学校教育講座准教授なかやま中山る留みこ美子実際に授業を実施しての先生の所感授業方法を思案しはじめたのは4月中旬のことでした。当時、5月には対面授業が開始できるのではという淡い期待が残っていましたが、一方で緊急事態宣言が発令され、授業実施への懸念は日々強くなっていました。4月18日、思い切って授業のMoodleにオンライン会議の提案を書き込むことにしました。書き込みはメール通知されますが、実施日は2日後の4月20日で、まだ学生のほとんどはTeamsを知らなかった頃、書き込んだのは「アプリを取得し、授業時間に動画を見て、授業後(昼休み)に会議に集まって」という無茶なお願いでした。しかし予告時間に会議を開くと、当時80名弱だった履修登録者のうち60名弱が集まってくれました。そのことが大きな励みになり、Teamsの機能も少しずつわかってきて、対面授業で予定していたグループワーク中心の授業がほとんどそのままできるかもしれないと、翌週にはグループワークを含む授業を試みました。教員研修ともタイミングが重なり、この授業は学内の多くの先生方にもご覧いただくことになりました。その後の授業は「顔出しNG暗闇会議」という特徴(笑)を除けばほとんど対面授業と同じ感覚で展開できたのですが、これは、システム環境、受講生の懸命な学び、私自身のモチベーションという大いに影響しあう3要素のうちどれが欠けても成立しなかったと思います。また、私自身のモチベーション維持には、多くの情報や励ましの言葉をくださった学内の先生方、不十分な環境の中で何とか良い授業をと模索されていた非常勤の先生方の存在も不可欠でした。前期を終え、学びとはなんだろうと改めて考えています。主体的な学びが強調される昨今ですが、「主体的」とはなんでしょうか。自分で起き、課題に向かい、自らの目的意識に従って何かをやり遂げようとすることだけがそれを実現させるなら、シラバスと課題があればよく、否、それすら不要かもしれません。一方、オンラインの場に時間指定で呼び出され、「動画を視聴しなさい」とか「考えを他人と共有しろ」と言われることは、主体的とは真逆のことのようです。しかし、他の人も頑張っているとか、先生がなんか大事そうにしゃべっているといった“空気感”からは、よくわからないエネルギーがもたらされます。そのエネルギーに支えられながら動画を視聴し他者と意見を交わすうち、思いもよらなかった世界やものの見方に出会い、「自ら何かを考え始める」ということが起こったりします。これまで講義室でも、主体的という言葉と葛藤しながらいろいろな「しかけ」をしてきましたが、私が授業づくりを通して願っていることは、どんな場であってもそういうことなのだろうと思います。3_AUTUMN 2020ならやま