ブックタイトルならやま 2021年春号

ページ
12/24

このページは ならやま 2021年春号 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

ならやま 2021年春号

クローズアップ+「こころ」を探るこの3、4年生という時期は、9、10歳頃の発達の節目として発達や教育の領域で注目されています。発達の節目というのは、外界の捉え方や外界への関わり方が質的に大きく変化する時期のことをいいます。先の例で言えば、9、10歳の節目を越えた子どもたちは、客観的に自己を理解するようになったり、具体的なことだけでなく抽象的なことについても「奈良教育大学鉄オタ倶楽部」発達障害のある子どもを対象とした余暇支援及び社会性発達支援のプログラム。写真は遠足先での一コマ。次に、回答の中で特に多かったのが「私は〇〇が好きです」というものです。〇〇の中にはカレー、算数、ドッジボールなどなど、それぞれの好きなものが挙げられていました。ですが、こうした十人十色の回答においても学年の特徴が現れてきます。その一つが「流行」です。この「流行」は様々な回答を一つのカテゴリーとしてくくったもので、具体的には〇〇のなかに芸能人、音楽(曲名など)、ゲーム、アニメ、キャラクター等が挙げられていました。そして、「流行」について述べるというのは低学年にはあまり見られず、3、4年生から徐々に回答が増加するようになります(竹内他(2021)「20答法の回答からみた小学生の発達的特徴―「好き」および「嫌い」の記述に着目した分析―日本発達心理学会第32回大会)。こうした事実から子どもは3、4年生頃になると自分とは何かを考えたり、これを説明したりするとき、個人的な文脈だけでなく、客観的な視点から自分のことを捉えるようになるといえます。例えば「子ども」というのは、人全体において自分は「子ども」であると客観視した結果でてくる回答です。4年生という時期は、こうしたことを「わざわざ」言いたくなる時期なのでしょう。また「流行」については、自分の身の回りの世界だけでなく、社会全体や社会の動きに目を向け始めていることの現れと考えることができそうです。こうした過程を経て、子どもたちは自らが社会の一員であるということを意識していくようになるのではないでしょうか。「で・あいのある世界展」「障害のある・ないの垣根を取り払って、アートの世界を通じて人と人との交流を広げていきたい!」という願いのもと企画されたアート展です。11_SPRING 2021ならやま