ブックタイトルならやま2021年秋号

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概要

ならやま2021年秋号

奈教のひみつ“なっきょん’s CLUB”企画スポーツの祭典を支える奈良教育大学には、様々なスポーツの現場で活躍する教員がいます。約1年の延期を経て、2021年7月より開催された東京2020オリンピック・パラリンピック。各国の選手が活躍する裏で、保健体育講座の笠次良爾教授は大会運営に携わり、立正伸准教授は日本代表選手のサポートを実施しました。私は、東京2020オリンピック・パラリンピックにおいて、トHEAT DECK(熱射病対応エリア)救助シミュレーションライアスロン競技の選手用医療責任者(Athlete MedicalSuperVisor)を担当しました。2019年のテスト大会の準備から関わり、医療体制構築と現場でのIF(国際競技団体)との調整ならびにチーム指揮を担当しましたが、コロナ禍で1年延期され開催が不透明な中で準備を進めたこと、第5波による緊急事態宣言の最中に賛否両論ある中で開催したことは、選手だけでなく市民の気持ちや医療機関への負荷も考えると正直言って心苦しく複雑な心境でした。私はこれまで災害医療の考え方を大会救護に応用し体制構築を行ってきましたが、オリパラと通常大会の違いは、「安全」に関するレベルの高さでした。ADカードによる顔認証、自衛隊員を動員した空港と同じような荷物検査の実施、公道コースもすべて隔離されたエリアにする、繰り返し試走を行い、救護シミュレーションを何度も行い動きを修正するなどです。このすべてにコロナ対策が加わり極度に自由が制限された状況でしたが、それでも何とか開催できたことを海外の委員は「奇跡だ」と言ってくれました。スポーツ医療に携わってきた私にとって、東京2020大会開催の意義は「災害医療のスポーツ救護への応用」という、ソフトレガシーの全国への普及です。この考え方を全国のトライアスロン医療関係者に共有できるよう、これからも大会救護に関わっていきたいと思います。選手用医務室内部スタッフを治療フィニッシュガントリー前にて保健体育講座かさなみりょうじ笠次良爾教授15_AUTUMN 2021ならやま