ブックタイトルならやま2022年秋号

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概要

ならやま2022年秋号

次世代の教師について考える特集ICTを適切な場面で使いこなせる力木村私がスクールサポートを行っている附属小学校では、全員にChromebookが配付され、児童はロイロノートなどを活用して意見を発表しています。また、理科の水のはたらきや家庭科の野菜の切り方、体育の授業などは、イラストや図だけでなく映像の方が伝わりやすいと考えています。ただ、ICT機器は遊びに使える面もあるため、ルールづくりなどを含めて適切な場面で使いこなせる力が必要だと思っています。寺田遊びに使える面という部分が難しいですよね。私の高校では全員にICT端末が配付されていましたが、インスタグラムを見たりしている子もいました。1人1台端末では、自分の世界に入ってしまう子もいて、全員で同じことを一斉にやる、ということは大変そうに感じます。西谷私はICT端末を使った授業というのはなかったのでイメージが難しいんですが、これから「学校フィールド演習Ⅰ」や教育実習など木村で実際に使用している現場を見て、学んでいきたいですね。美術の面では、名刺をつくってみたり、作品画像を見せたりすることに活用していますが、他にも活用する方法を探してみたいと思います。子どもたちは自分で壁紙を変えるなど、私たちが思っているより端末を使いこなしていますから、ある程度ルールを決める必要がありますね。私がスクールサポートを行っている学校では、雨の日の休み時間だけは端末で遊んでいい、というルールがありました。晴れの日は外で遊んだり、教室で絵を描いたりして、雨の日だけです。もちろん授業のときは遊びには使いません。そういったルールづくりが大切だと思います。地域と連携する力木村西谷地域と連携する力は、奈良県の教員になるにあたって大切なことと考えています。大学の授業の一環で見学した小学校の授業では、地域の方々に耕作や工芸などについてお話をしていただきました。また教育実習では、郷土学習の授業で小学生がお話を聞いて一生懸命メモをとっている場面を目の当たりにして、地域連携の重要さを感じました。さらに、へき地教育の授業を受けている中で奈良県の過疎地域の児童が学んだ成果を発信するために、ほかの学校とICTでつないで発表会をし合うなど、学校同士の地域でのつながりも大切だと感じました。これから人口が減っていくにあたって、こういった地域と連携する力は大切になると思います。私もへき地教育について興味があって授業を受けています。その中で、その地域でしか得られない体験を子どもたちにさせることが大切だと思いました。地域との関わりでしか学べないことを積み重ねることで、自分の地域に誇りをもつことにつながって、郷土愛が生まれていくと思います。寺田木村学校では、地域の方の力をお借りする場面も多いと思います。小学校のときに、毎朝地域の方が見守り活動をしてくださっていました。今でも会うと「大きくなったね」と声をかけてくださいます。学校内で野菜などを育てていた畑も、地域の方が水やりや肥料などの世話をしてくださっていたからこそ、種まきや収穫などの思い出に残る体験活動ができたんだと思います。それに、奈良県は歴史的建造物などが多くあります。小学校のときに遠足に行って見ていたものを高校の日本史で学んだことで、とても頭に入りやすかったことを覚えています。奈良県のよいところですよね。この地域と連携する力について考えたのは、前期プログラムの地域を考える回だったんです。そのときに奈良県の南部と北部の違いについての話になった際に、郷土愛の大切さを学びました。私が小学生のときに地元の川の清掃に参加しました。その川に授業で蛍の幼虫を放流しました。蛍たちが無事成虫になったときには、自分たちがきれいにした川に蛍を呼べたということが嬉しく、とても大切な地域の思い出になりました。大学を卒業するまでに南部の魅力や教育についても足を運んで学んでいきたいですし、教師として、自分の地域に誇りをもって、長く関わっていくことができるような地域連携をしていきたいです。児童生徒がよりよい考えをつくるために助言する力西谷寺田最近の学校教育では、アクティブラーニングなど話し合いの場面が多くなっています。その中で、意見交流をする際に、他の人の意見をしっかりと聴く力、他の人の考えを基に自分の考えを組み立てていく力が必要だと思っています。意見が対立しても、共通点を見つけるなどして児童生徒が上手にお互いの意見を受け入れて、よりよい意見を組み立てられるようになるために、教師には意見を整理したり、考え方への助言をしたりすることができる力が必要だと思います。助言する力という意見にとても納得しました。私の通っていた中高一貫校の中学校では定期テストの代わりに研究活動を導入していました。中学生が自分たちで調べて考えていく中では、難しい内容も出てくると思うのですが、そういった場面で教師が助言をすることで前に進むこともあるはずなので、助言する力は大切だと思います。木村私は、教師は教えるというよりも学びの補助をする存在だという考えがあります。ディスカッションの場面で助言をする力というのは、学びの補助をする存在として大切な力だと思いました。高校生のときの探究の授業で、話し合い経験が少ないために誰からも意見が出なかったことがありました。小学生のときから自分の意見をもって話し合う力をつけておくために、教師が適切な助言をしてディスカッションの力を育んでいくことが必要だと思います。教育実習の先生に「授業は公式を教えるだけなら誰でもできるから、この公式にたどり着くまでにどういう考え方があるか子どもたちに考えさせてほしい」と言われました。意見をたくさん出させて、どんどん練り上げていって、最後に教師が助言をすることで授業が成り立つ、ということです。意見をたくさん出して、もし話題がそれたり収拾がつかなくなったときに、教師がひとこと助言をして軌道修正をする。そのための助言の力は大切だと思います。AUTUMN 2022ならやま_4