ブックタイトルならやま2022年秋号

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概要

ならやま2022年秋号

講義形式の授業で専門的に学び、体験するこの授業では、各教員がそれぞれの専門性を発揮し、学生たちがそれらの学びをつなげ、深めるために、大学内で講義や演習もおこなっています。奈良の文化遺産の見学の前には、事前学習として、奈良の美術工芸文化財の世界性に関する講義がおこなわ奈良時代の色彩表現のれました。学生たちは、「吉備塚古墳出土三累環頭大刀復元体験による作品象嵌文様の源流」、「阿修羅の手」などをテーマに、伝統文化とその国際性について学びました。また、各フィールドでの学びをより確実なものとするために、さまざまな専門領域の相互性や連続性、関連性などについての講義を受けました。また、奈良においても世界においても重要な文化財である「正倉院宝物」や国宝「薬師寺東塔」などに見る奈良時代の彩色を対象とした授業では、それらに関する基礎的知識を学びました。さらに、和紙や天然鉱物などによる色紙を用いたオリジナル教材を、切り絵で作成し、奈良時代の色彩表現を体験することができました。さらに、奈良の言語文化を学ぶ授業もおこなわれました。まずWALSと日本言語地図中の言語地図を何葉か見ることにより、世界の諸言語における日本語、日本語における奈良方言の位置づけを確認しました。そして、奈良の方言談話音声を聞いた後、音韻史資料から研究者たちが古い日本語の発音を推定した過程の基礎について、追体験しました。フィールドワークのための事前講義受講生による学びのまとめとなるプレゼンテーションこの授業を通して学んだことのまとめとして、最後に学生たちによる発表会をおこないました。各自の専門性と、この授業で体感し、学修したことをつなげ、これからさらにどのように自らの視野を広げて伝統文化の持続発展や国際理解教育への貢献ができるのかを発表しました。一専攻として、学生同士が一体となって相互に学びあい、これからの研究を深めるきっかけになると同時に、それぞれの「世界の中の奈良」への理解を共有することができました。学生たちはこの授業を通して、ここ奈良をフィールドとして伝統文化と国際理解について学ぶことの意義を再認識しました。今後もこの経験を活かして、研究活動を充実させることでしょう。受講生によるプレゼンテーション受講生のコメント私は中学校勤務をへて、詩吟研究のため国際理解教育を専門としています。本授業は毎回ワクワクしましたが、なかでも製墨工場見学が特に心に残っています。握り墨体験で職人さんに丹精込めて練られた墨を手渡された時に、墨の温かみに命が吹き込まれているように感じ、胸が熱くなりました。その際、先生が仮名書道の実演をされ、静寂な中、筆が紙の上で動く音、墨の香り、魂を込めて作品を書かれる姿が一体となり、心に沁みました。伝統文化の素晴らしさを体感しました。(井上寿美)本授業では、心動かされる体験や豊かな出会いがありました。「見る」ことや「触れる」こと、その文化を守っている人々の話を聞いて「知る」ことなど、ここでしかできない学びや新たな発見がありました。私は、他大学から本学修士課程に進学し、書道を専門としています。古き良き伝統と文化に恵まれた奈良ならではの出会いを通して、書道だけではなく幅広い分野や事柄において自らの知見を深めることができました。これから自らの感性を磨き、専門である書道に活かしたいと思います。(奥野わか菜)教員による講評※ここで紹介した授業内容は、2022年度に実施したものです。授業の概要(シラバス)https://www.nara-edu.ac.jp/ADMIN/KYOUMU/SYLLABUS/syllabus/2022/detail/2022_11_K3001.htmlAUTUMN 2022ならやま_8