ブックタイトルならやま2023年春号

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概要

ならやま2023年春号

クローズアップ+本学教員の研究と、研究室をそれぞれ紹介します。化学反応を調べて説明するかじわら理科教育講座梶原あつし篤教授梶原研究室は、化学の研究をしている研究室です。化学は物質の性質や反応を調べる学問です。本研究室では特に化学反応の途中の段階で何が起こっているのかを調べています。化学は物質の変化を調べる学問ですが、実際に変化の様子を直接調べるのは非常に困難です。本学にはそのような研究をするための電子スピン共鳴分光装置という装置があります。英語ではElectron Spin Resonance Spectrometerという装置で、その頭文字をとってESR(イーエスアール)とよばれます。本学の装置は世界屈指の感度を誇っていて、後に述べるように国内外の大学や会社から測定に来る人がいます。ESRは「磁気共鳴」という物理現象を利用した測定で、電子を観測することで化学反応を理解する情報を得ることができます。化学の世界では電子はすべてを支配しているといってもいい重要な存在で、磁気共鳴という量子力学的な現象を基に量子化学で化学を理解できます。この装置の写真と、この装置を使ってわかることをまとめた図を示しています。これは、奈良教育大学シーズ集という、大学の設備で何ができるのかを示したものに載っています。大学のホームページからもう少し詳しい内容を見ることができます。私はもともと高分子化学と生物無機化学という分野を大学と大学院で学びました。どちらにも共通するのは、「常磁性」という物質の性質を基にして物質の反応や性質を研究することです。特に、化学反応の真っ最中にどのようなことが起こっているのかを、いろいろな実験によって見てきたように説明したいと思っています。本研究室では主にプラスチック材料ができていく電子スピン共鳴分光(ESR)装置と、装置を使ってわかることSPRING 2023ならやま_10